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睡眠と体内時計について、あれこれ

先月、奈良女子大で講義をさせてもらい、感想と質問を頂いたのですが、5月は忙しくて、ようやく時間が取れました。全部は無理なので、一部ですが、コメントを書きます。(2回生→3回生、出席番号順ですが、同じ内容はまとめました。)

・眠る前のメールはコーヒー2杯分くらい目が覚めるとのこと。今度、眠い時に試してみます。→いや、そういう意味ではなくて、目が覚めちゃうから、やめた方が良いですよと言いたかったのですけどね(笑)
・朝の光がリセットに良いのは知っていましたが、夜の光は害があることは知りませんでした。
・以前、1日眠って、1日起きるという48時間周期の生活をしている、おばあちゃんの話がありましたが、どうなっているのでしょうか?→高齢者でも、体内時計が大幅に狂ってしまうことはないと考えられています。ただし、睡眠と覚醒のどちらも浅くなってしまって、眠っているのか、起きているのか、はっきりしなくなってくることはあります。若い人でも、生活リズムが極端に狂ってしまうと、24時間以上起きていて、次の日は、ほとんど眠っているという不規則型の生活になることがありますから、そんな感じだったのかなと思いますが、本当のことは調べられていないので、わかりません。
・正しいと良いは必ずしもイコールではない、ということが勉強になりました。→ありがとう。大切なことです!
・女性は睡眠を削ると肌が荒れてむくみます。→確かに。次の講義にはその話を入れます。
・睡眠時間4時間で、いつも眠いのですが、睡眠不足でしょうか?→もちろんです!
・時差ぼけが起きる理由がよくわかりました。徹夜のことも。
・脳以外の体にも時計があることは知りませんでした。
・起床時にストレッチをする習慣を大切にしたいと思います。
・睡眠学習は効果がありますか?→完全に眠ってしまったら、耳や目からの情報はほとんど入らないので、眠る前にしっかり勉強して、よく眠るというのが良いと思います。
・「体に良い」という表現が、実は誤解を招きやすく、難しいということがわかった。
・私は栄養学は「体に良い食べ物は何かを学ぶ」と思っていましたが、そんな単純なものではないことが、よくわかりました。
・90分の倍数が起き易いというのは、間違いだということがよくわかりました。
・植物に季節をだます方法を教えて下さい→たとえば、まだ暗い朝早くや、夜になった後に、光を当てると、日照時間が長いと間違えます。春にこれをすると、早く夏が来たと思わせることができるし、秋にこれを行うと、まだ夏だと思わせることができます。前者では、花を早く咲かせ、後者では、遅く咲かせることができます。
・抗がん剤の投与と概日周期に関係があるという話は驚きました。
・大学の今までの授業の中で一番面白かった。→わ!お世辞でも、嬉しいです!
・携帯電話を夜いじっていると眠くなくなるのは、光のせいではないとわかりました。
・科学と技術、正しいと良いの違い、良いには価値基準が必要、という話は印象的でした。
 (2コマ目の大切な余談が、一番、興味深かった、という意見、多数でした。どうも。)
・自分は夜型なので、今日聞いた話を実践してみようと思います。
・ネガティブフィードバックは、意地悪な先輩が卒業しないと、新しい人が入ってこなくて、しかも、新しく入って来た人も、そのうち意地悪になってしまうのと似ていると思った。→面白いたとえですが、ちょっと違う気もします(^_^;)
・洞窟で生活した人は、なぜ25時間になってしまうのでしょうか?→体内時計は24時間くらいで回っていますが、光や睡眠を自由にすると、その影響で少し延びてしまうと考えられています。また、このように、光などの影響がない状態での周期をフリーラン周期と呼びますが、「全ての影響が完全に無い」という状態は、実は作ることができないので、「ある条件での周期」という表現が、科学的には厳密です。
・重要な用があるときは、目覚ましが鳴る前に目が覚めますが、普段は何個かけても起きられません。→眠っている時も、実は意識が完全になくなっているわけではないようですから、眠る前に、「きちんと起きよう」と決心することは、とても大切です。
・マグロは眠らないのですか?イルカと同じですか?→マグロは知りません。というか魚は脳波を取る研究がほとんどされていないので、今後の課題だと思います。
・レム睡眠を薬で減らしても問題はないのですか?→基本的には問題がないのですが、それはレム睡眠が不要ということを意味しているわけではないのです。レム睡眠を薬以外の方法で減らすと異常が起きますが、薬で減らした場合には、異常にならないことが多いのです。ただし、このような薬を飲むと、ノンレム睡眠の性質も変わりますので、脳波そのものの性質も変わってしまうのかもしれません。
・デジャブのように、昼間の風景の中で、夢で見たことがあると思うことがありますが、どうしてでしょうか?→これは難しい質問ですが、「見たことがある」という感覚は、実はかなりあてにならない感覚なんです。たとえば、カプグラ症候群という病気の時には、自分の家族の顔を見ても、「顔は同じだけれど、中身が違う」と患者さんは言います。これは、「見たことがあって、懐かしく感じる」という情動が異常になっているからだと、ラマチャンドランという人は説明しています。ですから、デジャブもそうですが、ある風景を見たときに、本当に見たことがあるのではなくて、その中の一部、あるいは全体の配置、あるいはその状況の中で経験するエピソードなど、何かの特徴が、「懐かしい」感じを与えることで、昔、経験したことがある、見たことがある、という気持ちになってしまうのではないかと思います。私たちの記憶は、実はかなりいい加減な部分があり、たとえば、自分の両親の顔を、誰でも明確に思い出せるはずですが、では、「絵を描いて」といわれると、詳細は結構思い出せないものですよね?このあたりは記憶の話なので、ぼくの専門外ですから、このあたりにしておきます。
・レム睡眠の時の夢は、どうして嫌な夢が多いのでしょうか?→扁桃核というところが活性化するので、嫌な夢が多くなるのですが、では何故、そうなっているのかというと、多分、楽しいことよりも、怖いことや嫌なことを、よく覚えていた方が、二度と怖い思いをしなくて良いので、得になるからだと思いますが、あくまで推測です。なぜ?という質問は、生物学的に答えるのは、なかなか難しいものです。
・科学では蓋然性の考え方、正しい・正しくないではなく、0%でも100%でもない、という判断が大切なことがよくわかりました。
・私は、いつもはっきりした夢を見るのでレム睡眠ばかりなのでしょうか?→そんなことはありません。レム睡眠は浅い睡眠なので、目が覚めやすく、その時に目が覚めると夢を覚えているだけで、ノンレム睡眠もあるはずですよ。
・「良く眠れる食べ物は○○です」と説明するためには、何を、どう良いと考えるかの価値基準が必要で、また、それが科学的に正しいかどうかの知識も必要ということがわかった。
・良く眠れる食べ物:ホットミルク、GABAチョコレート、
・科学で正しいと言われることも、実は、P<0.05で、20回に1回は偶然に起きる程度の場合もある。
・カフェインを飲んで頑張り続けると、体内時計は狂わないでしょうか?→カフェインの直接の影響もありますが、無理に起きていると、睡眠不足が貯まって、リバウンドで睡眠時間が、その後長くなります。睡眠時間が長くなると、体内時計は遅れがちになります。
・規則正しい生活の重要性がわかりました。
・個人的な話ですが、授業中の居眠りが止められません。何か良い方法はないでしょうか?→ぼくも、居眠りがひどいので睡眠の研究を始めたと話すくらいひどいので、良い方法を教えて欲しいくらいですが…ただ、やはり普段の睡眠時間を大切にすること、授業中以外の時間に5分くらいで良いので目を閉じて、脳を少し休めること、カフェインを上手に使うこと、あとは(講師の先生に失礼にならないレベルで)目の覚めること(関節を伸ばす運動、手先を細かく動かす運動、携帯でメール!、ガムをかむなど)をする、などでしょうか。
・羊を数えるのは、科学的な根拠がありますか?→アメリカの研究ですが、何もしない、羊を数える、自分の好きな風景などを思い浮かべるの三つをしてもらった時には、何もしないよりも、羊がよいけれど、羊よりも好きな景色の方が、さらに良かったそうです。要は、「眠りたい」とか「眠ろう」とか「眠れないなあ」などと、眠ることを考えず、さらには、いろいろ考え事をしてしまわないように、良い気分になるようなものを、思い浮かべているのが良いようです。
・大きな病気をした後は、睡眠障害になることが多いのでしょうか?→これは、「大きな病気」の性質によるので、答えにくい質問です。ただし、一般論的には、何らかの慢性の身体疾患があると睡眠障害増えることは知られていて、特に生活習慣病と呼ばれる、高血圧・糖尿病や癌と睡眠障害は合併しやすいです。癌などの生命にかかわる病気をすると、それが心配で心理的に眠れなくなることもありそうです。また、薬の一部が不眠症を起こすこともあります。ですから、多分、そういう傾向はあると思います。

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コメント

睡眠薬ロヒプノールを服用しています。服用して2時間は良く眠れますがその後目が覚めて眠れません。夜中に酒等をのんだりいろいろしていますが。疲れと寝不足を強く感じています。その他にデバス錠0.5毎食後服用しています。

→具体的な助言をご希望の場合、以下の睡眠障害相談室のフォームから、お願いします。
http://homepage2.nifty.com/sleep/menu-3.html
一般論として、中途覚醒する場合は、お酒が悪い原因になっていることがよくあります。安定剤、睡眠薬、お酒という組み合わせはお勧めできませんので、そこを調整する必要がありそうです。

投稿: tugityan | 2011年5月 7日 (土) 08時20分

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