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●起こされても、起きることができないのは、病気ですか?

睡眠相談室への相談で、非常に多い質問です。

まず、正常な状態でも、とても起きにくい場合があります。たとえば、夜中の2時とか3時に間違い電話がかかってきて起こされた経験などが、誰でも一度くらいはあるでしょうが、相手が何を言っていたのか、最初はよくわからず、頭の「芯」が寝ていて口先だけで答えていたような感覚を持つのではないでしょうか?場合によると、微かに電話が鳴っている気はしたけど、無視したという経験をしたことがある方もいるでしょう。これは、その時に、非常に深い睡眠(段階3か4のノンレム睡眠)に入っていたからです。

ただし、睡眠には波がありますので、夜中の2時、3時でも、偶然、睡眠の浅い時間帯に電話があれば、比較的スムーズに目を覚まして受け答えできます。でも、そのような時の間違い電話だったら、「腹が立って」眠れなくなりますね。浅い睡眠の時には、眠気も弱まっているので、一度、起こされてしまうと、次に寝付くまで、時間がかかります。余計腹が立つわけです。深い眠りの時間帯だと、腹が立つ前に、眠気が強いので眠くて眠ってしまうので、かえって良いかもしれません。ここまでの説明でわかるように、深い睡眠の時には、目覚ましを何個かかけても起きられないことがあっても、「異常」ではありません。となると、問題は、起きたい時間に、なぜ深い睡眠になってしまっているかです。

朝、いくら起こしても起きることができない人の多くは、夜眠る時間が遅すぎます。普通、深い睡眠というのは、睡眠の前半に出現するので、寝入ってから4~5時間のことが多いです。毎晩23時頃に眠る人なら、午前5時から6時には、もう深い睡眠が出現することは、ほとんどありません。しかし、高校生より若い年齢の場合、睡眠の必要度が高いので、深い睡眠が6時間以上出る人も多いです。また、大人でも睡眠不足が貯まってくると寝入ったあと6時間経っても、深い睡眠が出現する人もいます。そうすると、午前1時に眠っても午前7時に、まだ段階4のノンレム睡眠中ということもあり、その時には、起こされても無視したり、起こされて生返事をしても、また眠ってしまって、起こされたことを覚えていない、または自分で目覚まし時計を消したことを覚えていないということになります。これが、学校や会社の遅刻につながり、社会的な問題になるようだと、「病気」ではなくても、「異常」として扱わざるを得ません。睡眠相後退症候群や、睡眠不足症候群と呼ばれる状態です。この場合には、とにかく睡眠不足を解消して、睡眠のリズムを夜型から朝型に切り替える努力が必要になります。ベッドに「平均」して、7~8時間以上入っていないのなら、起きられないというのは、異常とは考えません。

これ以外に、以前のエントリー(睡眠リズムの2重構造)で書いたように、睡眠時間が長すぎると、一度、浅くなった睡眠が、また深くなることがあります。つまり、8時間くらいで一度は浅くなった睡眠が、さらに眠り続けることで、もう一度、深い睡眠が出現してきてしまう現象です。この場合には、だらだらと眠り続けるのではなく、浅くなった時間帯を見はからって起きることで、乗り切れる場合もあります。

それと似ているけれど異なるものに、長時間睡眠者という場合もあります。上に書いたように、普通は入眠後6時間を超えると、深い睡眠が出現しなくなるのですが、長時間睡眠者の場合には、8時間とか10時間経っても、深睡眠が出現します。私自身の患者さんの中には中学3年生で12時間以上、深睡眠を含む睡眠単位が繰り返した方がいます。このようなケースでは、短時間で起きるのは、かなり厳しいだろうと思います。

また、逆に例えば睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動障害などの深い睡眠を取れなくなってしまう病気のせいで、朝になっても眠気が残存して、起きられない場合もあります。この場合には、まさに「病気」ですから、その治療が必要です。

最後に相談される中で、かなり多いものに、うつ病やパニック障害などの「心」の病気や、その回復期に朝起きられないという悩みがあります。この場合には、もともとの「病気」の症状として、あるいは、治療に使われている精神安定剤系の薬が寝起きを悪くしていると考えられますので、その点を主治医の先生とよく相談することが重要になります。

というわけで、起きることができないだけでは、病気とは言えませんが、病気の場合もあるということになります。もし、医師にご相談をしたい場合には、2週間ほど、睡眠時間の記録をつけてから受診することをお勧めします。

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