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痛み、吐気に加えて、不眠もね・・・

NHKスペシャルで、日本のがん医療について取り上げていたが、今だに格差が大きいことに愕然とした。私が医者になったのは、1987年だが、がん性疼痛に対して投与するモルヒネには上限がないと習ったので、それが常識だと思っていた。それから18年経つが、今でも、それが「一部の常識」のようである。吐気の制御も、私が研修医として習ったのは、一度、吐気が現れると、制御が難しいので、先手必勝、抗癌剤の投与前から、ほぼ極量の吐気止めを投与し、それでも吐気が出そうな場合には、さらに別の薬を追加した。ただし、当時は今ほど優れた吐気止めも無かったし、モルヒネの内服薬も、塩酸モルヒネしかなく、徐放性剤が治験から、ようやく認可の時代だったので、今の最先端よりは、当然、お粗末だったが・・・
さて、睡眠障害の専門医としては書いておきたいのが、がん患者の不眠である。不眠なんて、痛みや吐気に比べれば、確かに、たいした症状ではないかもしれない。しかし、実際、がん患者さんたちに聞いてみて欲しい。がんという告知を受けた後、もっともつらかった症状は何か?時間がないので、ことさらエビデンスは探さないが、「眠れなかったこと」は、辛い症状のトップに近いところにあるはずだ。
特に、入院中は、さまざまな理由で眠れなくなる。がん治療に従事する医療者には、是非、不眠に対する正しい対処法を学んで欲しいし、「眠れない」という訴えを、「そんな程度のことはしかたない」と切り捨てないで欲しいと願う。特に、睡眠の悩みは、痛み・吐気と異なり、薬よりもケアの部分の重要性が大きいため、医者以上に、看護師に勉強して欲しいと考えている。
そのような気持ちがあったので、これは手前味噌の宣伝だが、医学書院が出版している「看護学雑誌」の2005年5月号に、不眠などの眠りの悩みの対処法の特集を、高橋正也先生と一緒に作った。40ページの量で、かなり実践的な内容があると自負しているので、是非、一読を。医師にも充分参考になるレベルの情報があると思う。

ところで、私のメインのブログは、こちらです。

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コメント

最も辛かった症状が「眠れなかったこと」ということに驚きました。その中には、きっと精神的な理由があるとは思いますが…。
私は最近睡眠の『質』というものについて調べています。やはり、入眠時間を縮めるのもいいと思うのですが、次の朝に疲れを残さないようにするのが、いい質の眠りのような気がしています。
そもそも、睡眠に「質」がある、と気づいたのは、アミノ酸グリシンが味の素から「グリナ」として発売されたからなんですが…。
http://www.ajinomoto-ff.com/glyna/index.asp
睡眠薬ではない、"食品"であるのも興味深いと思います。

投稿: ラル4 | 2006年1月31日 (火) 17時23分

グリナ、私も愛用しています。
睡眠時間は以前と変わらないのに朝すっきりと目覚めることが
できるようになったのはこれのおかげとしか言いようがありません。
依存性や副作用もないので安心して飲めます。
とっても気に入っています。
効果は人によりけりかと思いますが、薬に頼る前に
不眠に悩む方たちに是非試して欲しい一品です。

投稿: まくら | 2006年2月27日 (月) 16時13分

去年の記事に書き込み失礼します。
そして睡眠障害についてでは無いのですが…

私の祖父が足の手術により、入院しているのですが
痛みがひどく、鎮痛薬としてモルヒネを投与を
したのです。
医療目的での投与の事では安全だとメディア等で
知ってはいたのですが、
祖父になにかあったらと心配でしたが、
上の記事を拝見する限りでは安全だとわかりました。
ですが、モルヒネを鎮痛薬として常用するのは
よくないと聞いたのですが、祖父はもう普通の
鎮痛薬では体が慣れてしまっていて効かないみたいで
そこが不安です。
モルヒネは痛みがある人であっても、
常用はよくないのでしょうか?

投稿: 夕 | 2007年10月11日 (木) 16時28分

一般的には、モルヒネを使うのは、癌などの緩和ケアのときですが、手術後などでも、他の痛み止めではどうしても制御できない程の痛みがあるのでしたら、モルヒネの使用はしかたないかもしれません。また、その場合には、手術の傷がよくなって痛みが軽くなれば、モルヒネが不要になりますから、常用にはならず、依存などの副作用の危険性は少ないと思います。また、これも一般論ですが、痛い時に痛みに対して飲む限りは、依存症にはなりにくいです。

メールアドレスは入力しても表示されませんから、入れて下さっても大丈夫ですよ。

投稿: オーナー | 2007年10月11日 (木) 16時56分

突然の書き込み失礼します。
上のお話の中にあった医学書院の看護学雑誌を読んでみたいので、雑誌名を教えていただけませんか?
よろしくお願いします。

>オーナーより
「看護学雑誌」という名前の雑誌です。
2005年5月号です。ただし、今でも手に入るかどうかはわかりません。絶版かもしれません。

投稿: いるか | 2012年10月17日 (水) 06時57分

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