糖尿病医学の進歩
私たちの研究室では、糖尿病の再生治療を目指していますが、基礎研究が中心ですし、私自身も医師としては睡眠障害が専門なので、糖尿病の臨床医学そのものは、あまり詳しくありません。という言い訳から始めますが
、熊大は糖尿病の治療・研究では伝統があり、ナンバー内科以外の独立した代謝内科(荒木教授)が以前からあります。基礎系にも山縣先生がいらっしゃった関係で、今年度は阪大系の先生の講義でいろいろ勉強ができました。
私たちの研究室では、糖尿病の再生治療を目指していますが、基礎研究が中心ですし、私自身も医師としては睡眠障害が専門なので、糖尿病の臨床医学そのものは、あまり詳しくありません。という言い訳から始めますが
、熊大は糖尿病の治療・研究では伝統があり、ナンバー内科以外の独立した代謝内科(荒木教授)が以前からあります。基礎系にも山縣先生がいらっしゃった関係で、今年度は阪大系の先生の講義でいろいろ勉強ができました。
近年の脳科学の進歩の中で、fMRIやNIRSの役割は測りしれませんが、これらの技術で調べることができるのは、脳の局所的な血流変化で、それは神経活動の「結果」を見ていると、多分、ほぼ全ての脳科学者は思っていたはずです。しかし、なんと!実は逆かもしれないとNature誌の記事。驚きでした。
Brain imaging measures more than we think
http://www.nature.com/news/2009/090121/full/news.2009.48.html
インフルエンザb型菌に対するワクチンが、ようやく認可されました。![]()
欧米に比べて20年?30年?遅れましたが、このワクチンの導入に尽力を続けてきた方たち、たとえば、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会とか、その応援を続けてきた武内一先生(耳原総合病院小児科部長)とかの活動の成果かと思います。今後、安全に大過なく広く使われ育ってくれると良いと思います。
小児科医の間では、添付の注射器が使いにくいなどの話題も出ていましたが、このワクチンは不活化ワクチンですから安全性は高いです。しかし、そのため、確実な免疫をつけるためには数回の接種が必要で、現状では自己負担が大きいことが最大の問題です。今後は、鹿児島市のような公費助成制度が広がることを期待します。
福島県立大野病院の刑事裁判は、検察側が控訴を断念したことで、医師側の無罪が確定しました。この判決は妥当だと思いますし、医療への刑事介入に一定の歯止めがかかることは、良いことでしょう。
しかし、この件では、医療側に反省すべき点もたくさんあります。刑事裁判中は、そのような意見は書きにくかったでしょうから、今後、医療側が建設的な議論を進めて、妊婦さんが安心して出産できる環境を整える努力を続けることが、亡くなった方と遺族への最大の報いになり、加藤医師が2年半もの間、医療から離れざるを得なかったことを、多少でもプラスに生かすことになるだろうと考えます。
その意味で、私自身が、大きな問題だと考えるのは、今回の事故後に作られた事故調査委員会と、その報告書です。
川口の少女は嘘をついていたらしいことが、今朝、報道されていました。
http://www.asahi.com/national/update/0801/TKY200808010347.html
県警は事件直後、長女の携帯電話を押収。犯行直前の使用履歴を調べたところ、長女が寝たと説明していた7月19日午前0時から、犯行時間の午前3時ごろまでの間に電話を使っていたことが分かった。長女に説明を求めたところ、「寝ずに、ずっと起きていた」と認めたという。
警察は最初からこの情報を知っていたので、嘘をついている確信があって、本人が話すのを待っていたのでしょうね。なるほどですが、とすると、やはり、よほどの殺意があったことになります。残念です。
厚労省研究班の計算法を批判する記事が掲載されました。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080731k0000m040110000c.html
ただし、ここに出てくる津田先生、浜先生と、ぼくは、計算法を批判している点は同じでも、タミフルという薬に対する考え方は、多分、3人がそれぞれに異なります。ということで、ぼくの現在の考え方をまとめておきます。
インフルエンザ時の異常行動について、1万例を超える調査結果が発表されました。研究デザインが不十分なので、得られた結論はグレーの部分もありますが、臨床診療上、大変に示唆的な部分が多いと思います。
(追記)全体へのリンクを追加しておきます。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-6.html
ただ、今回の解析で残念だったのは、タミフルとの因果関係について厚労省研究班が間違った数字を発表して、それを朝日新聞などが報道してしまったので、意味のない数字が一人歩きしたことです。
記事に出てくる、11.9%と、12.8%という数字の比較は、科学的に無意味です。
無意味な値で何か言っても、当然意味ないです。┐(´~`)┌
http://www.asahi.com/national/update/0710/TKY200807100366.html
その点について、批判をしたものが下記です。ご興味のある方はお読み下さい。
「Tamiful080716.pdf」をダウンロード
今月号の日経メディカルに(2008.6.p72)、水野肇さんの短い記事が掲載されていました。ぼくが生まれる前から医療評論をされているだけに、歴史を踏まえて、同意できるコメントだと思ったので、要約を紹介します。
今週末に、医療倫理の市民講座を開きます。せっかく企画したのに、広報するのを忘れていて、メーリングリストで他の方が紹介してくれて、あわてました。これまで、高橋先生による「倫理とは何ぞや?」という話や、稲津佳世子先生の「医療決断サポーター」の話などを聞いてきましたが、今回は、熊大の浅井先生たちの始めた「医療倫理コンサルティング」を中心に、医療者・患者関係を考えたいと思います。
<医療倫理市民講座>
患者の声を医療にいかしていくために
医療現場における「臨床倫理」の役割
昨日、東京地裁で杏林大学の医療訴訟の民事裁判の一審判決が出ました。2年前の刑事裁判の一審判決では、医師の過失(診察に不十分な点があった)を認定したものの、因果関係を認めず(たとえ正しく診断できていたとしても、救命できた可能性は低かった)、業務上過失致死罪ではないという判決でした。ぼくは、その判決に対して以下の意見を書きました。検察側は控訴しています。
http://sleep.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_3f04.html
この時の裁判長の言葉は、「被告人は、隼三に対する診療行為において、「患者の病態を慎重に観察し把握する」という医師として基本的かつ初歩的な作業を怠ったことについて、その批判に謙虚に耳を傾けるべきであろう。」でした。
今回の民事判決の詳細はまだ読んでいませんが、報道によれば、過失そのものを認めなかったようです。刑事裁判と民事裁判で判断が大きく異なったようです。
リタリンのことを2回続けて書いたのですが、規制を強化する原因となった依存症についての認識が甘いのではないかという指摘をもらいました。リタリンの依存が、麻薬などの違法な薬の場合と異なり、医原性に起きていることが多い現状を考えると、「医師側」の人間が、このような批判を受けてもしかたないと思います。
意見の内容は間違っていないと思いますが、社会的な影響全体を個人レベルで推量することは、なかなかできませんから、このような意見を書くのも難しいなと、改めて感じましたし、確かに、今は規制を強化することに、集中すべき時期なのでしょうね。
前の項目に書いた、リタリンの規制に関して、下記のように決まり、基本的にはナルコレプシーの患者さんたちには、大きな不自由は生じないようで、ほっとしています。ただ、逆に、この内容では規制が緩くなり過ぎる危険性もあるかという気がしますので、今後、医師側がいかにきちんとした処方をしていくかが問われるでしょう。大切なことは、依存症やブラックマーケットを作らないことに加えて、医原性に薬漬けにしてしまうことを避けることでしょう。
リタリンの流通管理について
http://www.novartis.co.jp/news/2007/pr20071204.html
さて、もう一つの点に関して、複数の患者さんから心配しているというメールをもらったので、下記のような意見を書きました。従来の適応にあった難治性うつ病に関しても、医学的に適応があるケースもあるようですが、そちらは専門外ですので、過眠症について書きます。
ぼくは本業の睡眠障害診療で、ナルコレプシーの患者さんを何人も診ていますが、現場には情報が入らないまま、報道が先行して困っています。
今日の報道で、
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2007/11/25/20071125ddm003040057000c.html
中枢神経興奮剤・塩酸メチルフェニデートの商品名。依存性や幻覚・妄想などの副作用がある。適応症はナルコレプシー(睡眠障害)のみ。厚労省は10月26 日、適応症からうつ病を削除するとともに、処方できる医療機関などを登録制にして流通を制限することを決定。遅くとも来年1月以降は、製造・販売元のノバルティスファーマ設置の第三者委員会が承認する医療機関や医師、調剤薬局のみが処方することになる。
と、ありましたが、どのくらいの数の医師や薬局が指定されるのか、どのような方法で指定されるのか、現場には情報が入らず、ナルコレプシーや特発性過眠症でリタリンを本当に必要としている患者さんたちが、ずいぶん不安がっています。
もし、指定される医師・薬局の数がかなり少ないとなると、患者さんから見たら、ひどいやり方です。たとえば、今なら、患者さんが3ヶ月間とか地方都市に短期出張に出る時でも、その町のお医者さんに行けば、処方を受けられるわけですが、これからは、特定の町にわざわざ月に一回出向かないと行けません。また、ナルコレプシーは10代で発症することが多く、若い患者さんが多いので、辛い病気です。とても高い新薬(リタリンは1錠10円、新薬は300円)に変えたくても変えられない人もいますし、新薬が合わない患者さんもいます。
先日、法律家の方から、予防接種に関して質問を頂きましたので、そのやり取りをご紹介します。
ちょうど「医療ルネッサンス」でも、示唆的な記事がありました。政策立案者は、被害者・当事者の感情に配慮する必要はありますが、政策として何が優れているのかを冷静に判断した結果が、一部の人の感情を傷つける場合もあります。そのような場合、どのように対話を続けられるかが、とても重要です。そしてそこに強く関与しうるマスメディアの役割も重要で、今回の記事を高く評価します。(記事の紹介はこの項目の最後にあります)
<質問:一部省略しています>
はじめまして。予防接種に関する記事よまさせて頂きました。医学者としての立場から意見を伺いたくてメールしています。予防接種において、副作用でなくなる方、後遺症を発症してしまう方はまれにいらしゃいます。けれども、予防接種は必要という考え方に対してどのように考えますか?全体の利益を考慮すると、少数の個人の利益が害されても仕方がない、と医学者的には考えるのでしょうか。
<私の答:一部改変しています>
とても難しい質問なので、メールで簡単に答えると誤解を招くかもしれません。また、医学者として、とありますが、医学にもさまざまな分野がありますし、同じことを勉強しても異なる結論にたどりつくこともあります。ですから、以下は、私見と考えてください。
頂いてすぐ、最終章だけ先に読んでいたのですが、東京女子医大の心研の医療事故を追いかけた、鈴木さんの著書全体をようやく読み終えました。
明香ちゃんの心臓―〈検証〉東京女子医大病院事件
鈴木 敦秋 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062133229/ref=sleep-22/
鈴木さんの本は、これで3冊目ですが、グレードアップしたというか、これまでの2冊以上に、非常に強い感銘を受けました。
明香ちゃんの事故は、医師の逮捕にまでつながったわけですが、実はその後に続いた東京女子医大自身による、その他の医療事故の内部調査と、その結果を受け入れていった家族の物語も圧巻で、ある意味で今の医療不信を乗り越えていく最先端の可能性を示しています。そこにかかわった医療従事者も家族も、苦しみの中から和解の道を選んで行くことができたのは、やはり平栁夫妻の人柄によるもので、明香ちゃんの心臓が生きてきた証にもなるのかなと感じました。
最近、あまりに忙しくて心も荒みがちなので、偶然、読んだコラムにいちゃもんをつけて憂さ晴らし?
久坂部羊さんの書いた「廃用身」は面白かった。でも、このコラムはちょっとなあ・・・
【コラム・断 久坂部羊】なぜ延命治療を中止するのか
http://www.sankei.co.jp/culture/bunka/070422/bnk070422003.htm
<一部引用>
とうとう、10代には処方を差し控えるように発表したそうです。
厚労省が中外製薬に指示:21日未明、厚労省
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007032001000890.html
厚生労働省は20日、インフルエンザ治療薬「タミフル」の輸入販売元の中外製薬に対し「10代の患者に対し、原則としてタミフル処方を差し控えるように」と、添付文書を改訂し、緊急安全性情報を医療機関に配布するよう指示した。
2、3月に新たに2件の異常行動があったことが分かり「因果関係は明白ではないものの注意喚起を呼び掛ける必要がある」と判断した。
・・・
(共同)
まあ・・・しかたないでしょうね。遅い時間まで、ご苦労様です。
このブログでぶつぶつ書いたからではないでしょうが、厚労省が緊急通知を出しました。
年度末のどたばたの時期のお役所としては、とにかく昨日の今日ですから、言葉尻を批判せずに、まあ評価しましょう。
インフルエンザ治療に携わる医療関係者の皆様へ
(インフルエンザ治療開始後の注意事項についてのお願い)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0228-3.html
本日、別添のとおり、標記のお願いについて、各関係団体に周知を依頼するとともに、製造販売業者に対し、医療関係者への情報提供を指示しましたので、お知らせします。
また今朝、タミフル服用後の中学生の転落死が報道された。
中2男子が転落死 前日にタミフルを服用
http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/0000253199.shtml
以下、記事を一部、引用>>>>>
2007年2月27日午前1時20分ごろ、仙台市のマンション敷地内で、11階に住む市立中学2年生の男子生徒(14)が転落したと、母親から110番があった。男子生徒は病院に運ばれたが間もなく死亡した。男子生徒は
・・・
26日は学校を休んだ。同日午後6時ごろ、医師から処方されたタミフルを服用し自宅で静養していた。転落直前に男子生徒は母親に「トイレに行く」と言いながら玄関から外に出た。男子生徒はその後、自宅前の外廊下からマンション中庭の駐車場に転落したとみられる。
処方されたタミフルは2錠がなくなっていた。タミフルは副作用として異常行動が報告されているが、厚生労働省は因果関係を否定している。
>>>>>
昨年、ここにも書いたように、厚労省の「因果関係が無い」という発表は、「因果関係が証明できない」という意味である。あるいは、「一般的な異常行動の発症率」を高めてはいない、のであって、このようなfatal な結果に結びつくような異常行動に関するものではない。
異常行動の全体数が変わらなければ、その中で極端に悪い結果を引き起こす割合も変わらないだろうという「推定」は、ある程度の妥当性はあっても、「科学的に証明された推定」ではない。
厚労省や、調査に関して責任を持つ医師たちは、緊急声明を出すべきである。
と、私は思う。
またインフルエンザと診断された中学生が、ベランダから飛び降りて亡くなった。
転落死の中2、タミフル服用か インフルエンザで 愛知
朝日新聞より 2007年02月17日11時16分
http://www.asahi.com/health/news/NGY200702170008.html
愛知県蒲郡市のマンションから転落死したとみられる中学2年生の女子生徒(14)が、死亡した16日に市内の病院でインフルエンザと診断され、治療薬タミフルを服用したとみられることが、蒲郡署の調べで分かった。
昨年2006年4月15日に、「医療の良心を守る市民の会」という会のシンポジウムで話をしました。その様子が、こともあろうに?NHKの全国ニュースで放映され、おまけに、たくさんの人が話したのに、よりにもよって?、会長の永井さんと、ぼくのコメントだけが長く放映されました。土曜夜の7時と9時?の2回だったらしく(われわれは打ち上げの会に参加中で見てません)、意外な人からも、見たよ~という連絡をもらったりして、あせりました。
この回の2回目が11月に開かれましたが、残念ながらぼくは参加できませんでした。ところが、先日、なんと!熊本大学医学部が、永井さんを呼んで講演会を企画してくれました。ぼく自身は、熊大にいても医学部の人間ではないし(ややこしいのですが、発生医学研究センターが本務で、医学教育部と、薬学部には属しています・)、この講演会の計画には全くタッチしていませんが、下記の記事にあるように大盛況でした。やはり、医療界も変わりつつあると思います。
昨年来、気にかかっている件で、下記の報道がありました。
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異常言動との関連みられず タミフルで厚労省研究班
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006102901000193.html
インフルエンザ治療薬タミフルの服用後に、子どもが異常な言動を見せ交通事故死も報告されている問題に関連し、厚生労働省研究班(主任研究者・横田俊平横浜市立大教授)は29日までに、タミフル服用と異常言動の間に関連はみられなかったなどとする調査結果をまとめた。
研究班は、12都県の子どものインフルエンザ患者約2500人を対象に、治療薬の種類と異常言動の有無などについて、医師や患者の家族へのアンケートを実施した。
患者の約9割がタミフルを服用していたが、異常言動がみられたのは服用者の11・9%。一方、タミフルを服用しなかった患者で異常言動があったのは10・6%で、統計的な差はなかった。
横田教授は「今回の結果からは、タミフルと異常言動との間に関連性はないと言える。しかし調査はまだ十分ではなく、今後はタミフルを服用した時間や異常言動が起きた時間なども調べ、関連の有無をさらに調査したい」と話している。(共同)
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秋の行楽日和の好天気の週末に、大阪のMERSのイベントに参加して来ました。思えば2002年11月16日に第4回薬害根絶フォーラムで花井さんたちに初めてお会いしたのも大阪でした。その時に薬被連という団体が、そのメンバーの辛い体験の数々にもかかわらず、ぼくのような非当事者にとっても親しみを感じられたのは、中心にいる花井さんや勝村さんたちの豊かな人間性のおかげだったのですねと、メールを書いたのを思い出しました。辛い体験をすると人は大きくなるのでしょう。今回のイベントの最後に薬害エイズ被害が被害者・家族にもたらした正の影響についても検討したというのは評価できると思います。ぼく自身は、いろいろ事前に思い描いていた形のことができない部分もあったのですが印象深い会でしたので、忘れないうちにメモを残しておきます。
生命を育む思想 ~薬害エイズと医療
http://www.mers.jp/event/1014-15_4.htm
以下、長いメモ
熊本で3歳児の日本脳炎が発症して小児科で話題になっています。新聞レベルでは、まだ報道されていないようですが、下記に速報があります。子どもの発症は久しぶりのようです。
http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/JEVMeeting.htm
日本脳炎ワクチンは副作用の懸念から、昨年接種勧奨が中止され、現在は副作用の少ないワクチンの開発中です。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/05/tp0530-1.html
もともと3歳位から接種することが多かったワクチンでしたから、今回の発症例と接種勧奨中止との関係は微妙ですが、地元ですし、まだ蚊も飛んでますので、気になる話題です。
日本脳炎のように発症率は低いけれど(不顕性感染が多いとされています)死亡率が高い病気に対して、どのような形で予防をするべきかというのは、かなり難しい問題ですから、今後も動向に注目したいと思います。
沖縄でタミフルを服用した中学生が墜落死したことが報道されています。
琉球新報のHPより抜粋・引用: 9階上がり転落か 豊見城市中1男子
7月3日午後、豊見城市高層住宅で同住宅に住む中学1年生の男子生徒(12)が転落死した自宅のある6階から9階まで上がり、転落した可能性がある。生徒は肌着に半ズボン姿で、靴などを履いておらず、はだしだった。生徒は3日の朝と昼食後の2回、インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した。男子生徒が服用したタミフルは、高校生の兄が服用していたもの。生徒は3日朝からインフルエンザで学校を休んでいた。部活動なども活発に行うなど、悩みなどがあった兆候は今のところないという。午後5時50分ごろ、団地の駐車場で発見されており、その直前に転落したものとみて調べている。
昨年の冬に話題になったタミフル服用後の異常行動ですが、また大変な形で再発してしまったようです。
取り急ぎですが、以前、転載した岩田先生のポジションステートメントを再掲しておきます。
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・外来患者におけるインフルエンザ
生来健康な小児、成人に対しては抗インフルエンザ薬を推奨しない。
予後はよい疾患であり、しっかりと休養をとり対症療法を提供すれば治癒が期待できる。インフルエンザ脳症の懸念はあるが、これとて薬を飲んで予防ができるわけではない。ただし、患者・家族の強い希望があれば、これを無下に否定するものでもない。なお、本推奨は英国の主要なガイドライン作成機関であるNICE(National Institute for Clinical Excellence.)のものを踏襲している。
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追記:東京新聞にタミフル服用後に亡くなった方の遺族が会を作ったことが報道されました。
『タミフル被害者の会』の思い
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060726/mng_____tokuho__000.shtml
医療者は「結果責任を問われるべきではない」、という意見を医療者側からよく聞きます。このような文脈で使う場合の結果責任という言葉は、現時点での「(ほぼ最高の)医療水準の医療を行った」が、その結果が、患者の希望するものとならない場合もあるので、そのようなケースでは、医療者は責任を問われるべきではないということです。このことは、医療行為に関する契約は結果を保証するものではなく、最善の医療を提供することを保証することだと言い換えるとわかりやすいでしょう。しかし「最善の医療を提供した」ことも、ある意味では「結果」です。そういう意味では、その部分(医療行為の提供)までの「結果」が出せなければ、責任を問われても仕方はありません。よく使われるアカウンタビリティという言葉は、説明責任と訳されるが、「結果責任」なのだという見解を黒川清先生の文で読みました。
実際、最近の民事裁判に於いては「期待権」が重視されるようになっているそうです。「期待権」は患者が最善の医療を受ける権利で、医師の過失や怠慢で、「最善の医療を受けられない」結果になった場合、その部分までの「結果責任」を、医療者は負う必要があるということです。その後に起こった最終結果が、医療行為の結果なのかどうなのかに(因果関係論)に関わらず、医療者は「最善の医療を提供しなかった」責任を問われるということで、私はこのような責任追及ならば納得できます。
しかし割り切れないのは、医療行為と最終結果の間の因果関係を問題にする、特に刑事罰における過失・因果関係論の議論です。たとえば、下記のような例を考えると、現状の刑事罰の体系では、結果=医療者側から見れば単なる運の良し悪しで、罪に問われたり問われなかったりします。
もちろん、たとえば、誰かを故意に突き落とした時に怪我だけなら傷害、死んでしまったら傷害致死というのも、運の良し悪しですから、刑法はそのようなものであると思います。しかし、故意ではない業務上の過失に対して運の良し悪しで大きく罪状が変わるのは納得できません。医療においては業過傷害・業過致死以外の罪状の方が適している・・・つまり現行法は悪法だと考えます。
なによりも過失と因果関係を分離して裁定して罰則を与えることは、医療の質の向上に役に立つとは思えません。医療者ができることは「過失をしない」努力だけです。同じミスをしても、ある人は運よく罪に問われず、別の人は運悪く犯罪者となるという不公平感が広がれば、医療者のモーチベーションが下がるだけです。また過失そのものではなく、結果が重視されるのなら、ミスを避けるよりも、ミスを起こした後、たとえば、とにかく患者が死なないように延命だけを続けたり、ミスは隠したほうが良いという気持ちになりやすいと考えます。また過失をしてしまった時に、結果が悪くなり易い、救急・外科・産科医療などに従事するのは損だということになります。
やはり故意・悪意のない医療過誤を刑事罰で裁くことは最低限にして、別のシステムを使って医療の質を向上させないとダメだと感じます。たとえば普段の医療の中で、「過失そのもの」を厳しくチェックして公表して医療者の中で共有するようにする。そして、重大な結果につながらない場合も医療の向上につなげ、そのようなシステムの中で、結果が偶然、重大なことにつながった場合には、因果関係論にとらわれず、民事的な責任を取るというのが妥当と思います。
(4・23追記)また、刑法の不充分な点については、刑法そのものあるいは医師法などに、「カルテ改ざん罪」「医療経過隠蔽罪」などを新設して、そのような面での「犯罪」は刑事介入することにすれば良いと考えます。そうすれば、内部告発などが必要な事例も減るでしょう。
以下、業務上過失致死罪における過失と因果論の関係に関するわかりやすいケーススタディです。
7年前に、4歳の杉野隼三(しゅんぞう)くんが綿菓子の割り箸による事故で亡くなった時の医療に関して、担当医が被告として刑事責任を問われていた裁判の一審判決が言い渡されました。
「予見義務や結果回避義務を怠った過失があるというべきであるが、過失と死亡との間の因果関係の存在については、合理的な疑いが残るので、被告人は本件業務上過失致死被告事件について無罪である。」との判決でした。
刑事裁判では、「疑わしきは罰せず」が原則です。「救命・延命可能性がきわめて低かった疑い」を裁判長が持った以上、妥当な判決だと考えます。
本日の朝日新聞の天声人語もこの件について取り上げています。
http://www.asahi.com/paper/column20060330.html
これも含めて、これまでの報道を読むと、この判決について、付言で裁判長が述べた言葉の断片が示されています。しかし、私が重要だと思った点を直接引用しているマスコミが、残念ながら少なく、がっかりしています。その部分を強調して、下記に、判決要旨の付言の部分を引用します。この部分は、被告側、検察・被害者側の双方の感情を解きほぐすようで、裁判長の人柄が見えるような名文だと思います。
(4月21日追記)
この判決について、検察側・遺族側・被告側、また法律家の立場からのいろいろな批判があります。特に因果関係の部分については、今回の要旨では簡単すぎて、判断の根拠が不明ですから、全文を早く読みたいという意見もあります。また付言は良い文だと思ったのですが、こんなところは評価するような部分ではないという意見もあります。その点について、元検事の方のブログを見つけましたので、こちらに紹介しておきます。
元検弁護士のつぶやき
http://www.yabelab.net/blog/2006/04/05-145002.php
前の記事に書いた医師が逮捕された件は、起訴され公判が始まりました。今後の公判の中で、事実が明らかにされ、逮捕したことが正当だったのか、過失があったのかがわかるでしょう。この件に関しては、私はどちらの当事者も知りませんので、もう少し事実が明らかになってから、自分の意見を見直したいと思います。今のところ、公開された事故調査報告書の記載を信ずれば、医師側に過失があったとしても、逮捕して刑事責任を追及するレベルとは思えないという意見は変わりません。
ただし、報道された検察側の起訴状には、この報告書と異なる見解があったようです。
この文は、最初、「何のための身柄拘束?」との題で書き始めましたが、少し建設的なタイトルにしました。
一般メディアでは、あまり話題になっていませんが、福島県の産婦人科医逮捕の報道は、医療者関係者の間で、大きな波紋を呼んでいます。産婦人科学会も、緊急のコメントを発表しています。情報は、こちらのブログに詳しいです。
私は、これまで、医療事故(過失の有無を問わず、予想外、または発生頻度の低い悪い結果が起きた場合を事故と、定義しています)に対する、刑事責任追求について、現状では「必要悪」という立場でした。(過去の意見の、2.と3.などを参照)
そして、どちらかといえば、「必要」の部分が「悪」を上回ると考えてきました。
以前から、注目している件に関して、シンポジウムが開かれることになり、パネリストとして参加することになりました。是非、興味を持っていただければと思います。
医療の良心を守る市民の会 http://ryousin.web.fc2.com/
医療における悪い結果をめぐって、さまざまな形で医療者と患者側の間で紛争が起きます。
私の尊敬する亀田総合病院の岩田医師が、現時点での彼の見解の公開を承諾してくれましたので、以下に引用します。臨床医には、大変、参考になると思います。
わかっていることよりも、まだわからないことが圧倒的に多い中でも、臨床医は一歩も立ち止まることを許されず、毎日、判断を迫られます。わからないことは、ニュース性がないため、マスコミもなかなか報道しない中で、個々の専門家が、情報を収集し、見解を発表するのは時間的な大きな負担と勇気の必要なことですが、大切だと考えます。
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抗インフルエンザウイルス薬の使用方法 ポジションステートメント
亀田総合病院 総合診療感染症科 Last Update 2005年12月9日 文責 岩田健太郎
今年もインフルエンザの季節が到来しました。シンメトレル、タミフル、リレンザといったインフルエンザ・ウィルスに対する特効薬が保険収載されてから、この季節は、ずいぶん、かしましくなりました。今年は、鳥インフルエンザも話題になり、さらににぎやかと思っていたら、タミフルの副作用疑いの記事が出ました。
私自身は、最近は、一般内科の診療はしておりませんし、感染症の専門家でもありません。しかし、インフルエンザという、ごくありふれた病気の治療薬に関する重大な副作用の懸念が出されたので、気にはなります。そこで、このような異常行動を、実際の臨床に携わる小児科の先生は、どのくらい経験するものなのか、私の加入している小児科医のメーリングリストで尋ねたところ、下記のような情報を頂いたので、まとめてみました。全体で15例ほどしかありませんし、年齢も広い範囲にわたっています。また、タミフルを飲んでいる例もあり、飲んでいない例もあります。確定診断がされた例も、されていない例もあり、井戸端会議のレベルの情報収集です。ただ、多くの臨床医の先生方にとっては、これを読むと、なるほどと思う程度の情報はあるのではと思います。
国立大学医学部附属病院長会議常置委員会の言葉の定義
http://www.umin.ac.jp/nuh_open/iryoujiko.htm
ア 「事故」と「ニアミス」の定義
厚生省の「患者誤認事故防止方策に関する検討会報告書」では,「アクシデント(事故)」及び「ニアミス(患者に傷害を及ぼすことはなかったが,日常診療の現場で”ヒヤリ”としたり,”ハッ”とした経験)」という用語が用いられており,この二つを区別している。本報告書ではわかりやすさを期すため,「事故」と「ニアミス」と表現し,「事故」とは患者が傷害を被った事例(病院側の過誤の有無を問わない),「ニアミス」とはミスがあったが幸い患者に何も起こらなかったものや,事前に誤りが訂正されて事故に至らなかった場合を意味することにする。
厚労省リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会
http://www1.mhlw.go.jp/topics/sisin/tp1102-1_12.html#no3
第3 用語の定義
1 医療事故
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。
ア 死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合。
イ 患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合。
ウ 患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合。
2 医療過誤
医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為。
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