謹賀新年2009
昨年は、「文系」の哲学・倫理学分野で、翻訳書を出版できて、少し貢献ができたことが、自分としては良かったのですが、今年は本業の成果をきちんと形にする年としたいと思います。
また、今年は、上の子が大学受験、うまくいけば4月には家から旅立ちます。というわけで、4人そろった写真の年賀状を送るのは、多分最後です。
昨年は、「文系」の哲学・倫理学分野で、翻訳書を出版できて、少し貢献ができたことが、自分としては良かったのですが、今年は本業の成果をきちんと形にする年としたいと思います。
また、今年は、上の子が大学受験、うまくいけば4月には家から旅立ちます。というわけで、4人そろった写真の年賀状を送るのは、多分最後です。
先日、熊本大学の「知のフロンティア講座」で講演をさせてもらった内容をブックレットにしてもらいました。
「ぐっすり眠っていますか? ~脳科学から見た眠りの世界~」
http://www.kumanichi-jb.co.jp/books/ind/new30.html
この本の表紙で「熟睡しているネコ」は、実は昔の教え子のペットです。現在、米国在住ですが、また写真を撮ってもらいました。日曜の気楽な話題で、ご紹介。
熊本大学に赴任して、もうすぐ6年です。引っ越してすぐに小学校に入った下の息子も、来月は卒業です。
そして、一番最初に入ってくれた大学院生(現在ポスドク)の白木君が、長いこと暖めた仕事が、ようやく論文になりました。もっと有名な雑誌に出せてもおかしくない優れた仕事ですが、ラボの最初の大きな仕事ということで、ずいぶん苦労して最初の投稿から受理されるまで1年以上かかり、雑誌のランクも少し下げて発表せざるを得ず、申し訳ないことをしました。とは言っても、インパクトファクターが7以上の売り出し中の雑誌に出せましたし、今後は研究の中身も必ず評価してもらえます。とにかく良かったです。地元紙に大きく報道してもらったのも、ちょっとしたご褒美になりました。社会面の右肩だったので、こちらもびっくりでした。あ、と言っても、これはかみさんの方の仕事ですから、ぼくの方も頑張らないと (^_^;)
阪神・淡路の震災から12年。
今年は昨年よりイベントの数が多かったそうです。10年目が盛大だったので、
11年目の昨年が、やや下火になり、その反動なんでしょうかねえ・・・
ぼくは当時東大の助手でしたが、神戸に住んでいた親友夫婦が被災して、
東京に避難してきました。その話を聞いて、遅ればせながらでしたが、10日間ほど、
避難所になっていた六甲小学校の救護所にボランティアに行きました。
当初は3500人以上が避難して、すし詰めになっていたそうですが、ぼくの入った頃は
1800人くらいまで減っていましたが、それでも廊下に寝ている人もいて、
体育館などは、ひどい状態でした。ぼくたちも寒い中、寝袋で保健室に寝泊まりでした。
この時の経験は、いろいろな意味で大きかったのですが、ぼくにとっては、
震災のちょうど1年後の方が厳しかった・・・
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
このブログをRSSで読んでくれている稀有な方もいるようで感謝・感激ですが、昨年来、忙しくてなかなか記事が書けませんでした。2005年は、聞いた言葉のまとめも書いたのになあ・・・
今年も前半は忙しさが続きそうなので、ブログには昨年、新聞とMLで連載したものを掲載しようかと思います。
一つは、昨年4月から地元の新聞の夕刊に連載した「良い眠りのヒント」で、これは今年の3月までなので、残り2回ありますが、最初の頃のは公開し始めても良いでしょう。
もう一つは、「魂はどこにあるか?」で、心と脳の問題を扱ったもの。
ML用に書いたので、若干手直しが必要ですが、ぼちぼち紹介します。
さて、年頭はとりあえず、昨年、熊大の広報が作ってくれた記事。
今年も、いろいろな人に会って、印象深い言葉を聞きました。せっかくなので、思いつくままに、ご紹介します。順不同ですが、first in last out のスタック型メモリーなので?、日付的には、さかのぼるような感じで、最近のものが多いです。また、敢えて短く、ぼくの解釈で書いているので、本人の気持ちとは異なる部分があるかもしれませんが、こんな風に消化した(こんな程度にしか消化できなかった)ということです。
●「素心知困」 西澤潤一先生 2005.10.08.
鹿児島の池田高校で講演された時に、揮毫して頂いた言葉です。西澤先生は、都立大学、改め、首都大学東京の初代学長に今年の4月になられましたが、その前には、岩手県立大学の建学に際して、やはり初代の学長として、この言葉を独自に作ったそうです。自分の本当にやりたいことがわかってみると、それを実現するための知識や実力がないことがわかり、初めて本当に困ることになるのだ、という意味。それから、御自分の人生を振り返って、「愚鈍一徹」という言葉も書いて頂きました。子どもたちには、「ぼくは、学校の成績は悪かったんだよ。君たちも、成績なんかにあんまりこだわらないで、やりたいことを見つけなさい。」と話されていました。
●「日本の男たちは、職場に長くいすぎ」 松山章子さん 2005.12.10.
世の中の何かを変えようとすることは、いつも難しい。
強い宗教心でも持っていない限りは、絶対的な価値観のない時代。
漱石の時代以上に、こちらを立てれば、あちらが立たない。
でも、変える努力をやめてしまって、単に現状肯定もねえと思う時に、
こんな知恵はどうでしょうか?
・ゲチや泣き言では世の中は変えられない
・従来の発想を創造的にひっくり返す
・説得力あるデ-タにもとづいた提言を
・市町村の競争心をあおる
・メディア、行政、政治家に仲間をつくる
・名をすてて実をとる
・提言はユーモアにつつんで
これは、大熊由紀子さんが、講演で紹介して下さったものです。
大熊さんについては、こちらを。
えにしネット
http://www.yuki-enishi.com/
6月最初の週末は、東京出張でした。翌日に熊本で用があり、始発の飛行機に乗るためには、都内のビジネスホテルを7時前に出ないといけません。備え付けの目覚まし時計はセットしたものの、もし鳴らなくて、寝坊したら困るなと心配しながら、カーテンを閉めずに眠りにつきました。
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はっと目を覚ますと、外はすっかり明るく、驚いて時計を見ると、まだ5時前です。なんだ損したと、もう一眠りしたものの、結局、アラームが鳴る前に、目が覚めました。夏至も近づき、日の出もずいぶん早いのですが、季節のせいだけではありません。睡眠不足の日々なのに、早く目が覚めるなんて、我ながら、歳を取ったと、思わず苦笑いです。
赤ちゃんは、ほとんど1日中、すやすや眠っていますし、幼稚園児でも昼寝をします。小学生くらいまでは、まだ早く寝ていますが、その両親は夜更かしです。このように、睡眠時間は年齢とともに短くなります。私も40歳を超え、朝、目が覚めやすくなったのは、老化現象の第一歩です。徹夜の翌日には、夕方まで眠ることのできた頃を懐かしく感じます。
睡眠は、長さだけではなく、深さも大切です。うとうと、うつらうつら、という浅い眠りでは、たとえ長く眠っても、睡眠不足になります。ぐっすり深い熟睡なら、少し短めでも、疲れも取れ、リフレッシュできます。
私たちの睡眠は、普通、寝入りばなから、一気に深くなります。その後、浅くなり深くなりの波を、約1-2時間ごとに何回か繰り返して、朝を迎えます。最初の1-2回の波は、大きな波ですが、明け方には、波そのものが小さくなります。お風呂の中で波をたてた時のように、波は、だんだん弱まっていくのです。
歳を取ると、睡眠時間が短くなるだけではなく、深い睡眠の割合が減り、浅くなります。お風呂のたとえでいえば、最初の波が、そもそも浅く小さいのです。そのため、波が早く凪いでしまい、特に明け方は、浅い睡眠がだらだら続き、ちょっとした音や、光で目が覚めるようになります。
ですから、正常な老化現象として、睡眠時間が短くなった場合は、朝早く目が覚める分、夜、早く眠って、睡眠時間を長くしようとするのは間違いです。それでは、ますます、朝、早く目が覚めてしまいます。最近は、夜遅くまで面白いテレビ番組もありますし、歳を取ったら、好きなだけ夜更かしするのも悪くないようです。
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さて、照れ隠しではありませんが、私が早く目を覚ましてしまったのは、老化現象のせいだけではありません。
大事な用事がある時に、目覚まし時計をセットしておいたら、アラームが鳴る直前に目を覚ましたという経験を、多くの人がしています。
脳の中で24時間の時間を刻む「体内時計」の研究が私の専門ですが、体内時計は睡眠も制御しています。たとえば、体内時計を一番実感するのは、海外旅行にでかけて、時差ぼけになった時です。現地の時間は夜なのに、「日本時間」のままの体内時計は昼なので、眠れなくなったり、逆に、現地の昼に、どうしようもなく眠くなったりします。
体内時計は、他にも身体のいろいろなリズムを司っています。体温は、明け方、最低になり、午後から夕方に高くなります。成長ホルモンは、眠っている夜にたくさん出るので、「寝る子が育つ」という諺が、迷信ではないことも、わかっています。
眠っている間も、体内時計は時を刻みます。時計が明け方を指すと、まだ起きる前から、コルチゾールというホルモンが血液の中に増えてきます。起きてすぐに、気分良く活動を開始できるように、眠っている間に準備を開始するのです。
ところが、面白いことに、翌朝、普段より早く起きるように指示された場合は、ベッドに入って寝付いた時間は同じでも、このコルチゾールが、いつもよりも早い時間に、増えてくるという研究結果があります。つまり、「意志の力」が、体内時計を少し進ませて、普段より早く起きる準備を始めるというのです。
もちろん、早く起きないといけないという精神的な緊張が、睡眠を浅くして、目を覚めやすくもするので、目覚まし時計が鳴る前に起きるという経験をするようです。こうしてみると、朝、すっきり目覚めるためには、眠る前に、明日は早く起きようと、しっかり決心することも、大切なようです。
(東京新聞、中日新聞、夕刊に掲載)
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