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書評:子宮頸がん予防 高橋真理子著

朝日新聞の高橋真理子さんが書いた本ですが、ずいぶん前に送って頂いたのですが、ようやく読みました!
最新 子宮頸がん予防 ワクチンと検診の正しい受け方

今、高校生以下の娘さんを持つ両親世代と、大学生くらいの女性本人には、是非、読んで頂きたい本です。高橋さん自身、深い知識がないところから勉強を始めて、世界的にも有名な先生が慎重論を書いていることを見つけたり、積極論を述べる先生の意見を聞いたりしながら、現時点での知見を丁寧にまとめて、科学としては不確実な現状を的確に説明しています。

この本をきちんと読んで、子宮頚癌のことを知った人ならば、ワクチンを受けても受けなくても、子宮頚癌で困ることはないと思います(笑)

とはいえ、読まない人も多いでしょうし、本当はよくないのですが、結論だけを、まとめると…

子宮頚がんの予防ワクチンについては、まだ未知の部分が多く、もし日本人の多くが接種するようになったとしても、本当に、マクロなレベルで大きな効果があるかどうかは、わからない。ただし、これまで得られている知見や、副作用の程度を考えると、「多分」、子宮頚がんを減らせる可能性が高く、ワクチンだけを考えれば接種した方が良さそうである。しかし、ワクチンで防げないタイプのウィルスもあり、ワクチンを接種したことで安心してしまって、健診を受けないのなら、逆効果になるかもしれない。

というわけで、上に書いたように、接種すべきかどうかを考える時に、ワクチンだけではなく、この病気のことを知る(勉強をする)ことが大切そうだと考えるわけです。

また、ワクチンの効果は、個人に対するものと、その総和としての「社会」レベルでの効果があります。そのように考える時、女性に接種するよりも、実は男性にも接種した方が、ウィルス蔓延を防ぐ効果としては、本当は高いのかもしれないというような疑問も解決していません(これは、感染拡大のモデルを使うと、ある程度計算できるかもしれませんが)。

常に、そうですが、ワクチンのベネフィットとリスクを考える問題は難しいです。

・・・
と、ブログを書いたのは、9月の初めだったのに、公開し忘れていて(後悔先に立たず)、10月は、ほとんど出張に出ていたため、あっと気がついたら11月も半ば orz
高橋さんとは、長いおつきあいさせて頂いているのに、申し訳なかったです m(_ _)m

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