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震災支援:福島第一原発からの放射性物質の危険性:今後の対応

今日で震災から4週間。避難所に入っている友人や報道の様子からは、阪神・淡路の震災に比べると、復興の遅れが目立ちます。また、原発も最初の週以後は、大気中への大量放出はなかったようですが、海への放出が続き、水素爆発の危険もまだあるとのことで、かなり長期戦の覚悟が必要になってきました。おまけに、一号機での窒素注入が始まり、大気中への再放出の危険性もあります。

これまで、ぼくも原発については短期的な見方を中心に書いてきたので、やや楽観的であるとの批判も頂きました。そのような意見も踏まえながら、長期対応を考えるべき時期になっているようですので、最近の情報を整理して、大切な点をまとめてみます。

まず、前のエントリーでも書いたように、原発の周辺地域の放射性物質の濃度は、原発からの距離だけでは判断できないことが最重要です。例えば、京大の今中先生たちの調査(原典はこちらのPDF)を、朝日新聞が報道した記事が下記です。
原発30キロ圏外に高汚染地点 3カ月後も最大400倍
この図(→こちら)は、わかりにくいですが、上の段は全身の被曝量、下の段は甲状腺の被曝量を表しています。これによれば、高い地域では全身で数十ミリSvの被曝を、ヨウ素が集積しやすい甲状腺では、100mSv以上の被曝をうけてしまっている可能性があることを示します。早野先生たちのグループの計算でも、飯舘村で6.7mSvとなっていますが、今中先生たちは、同じ村の中でも10倍以上の濃度差(強度差)があることを見つけています。これを見ると、この地域の中でも、かなりきめ細かい配慮をしないと、いけないでしょう。

次に、重要と考えるのは、注意すべき核種が変わってきたことです。これまではヨウ素131が放射能汚染の大半を占めてました。ヨウ素131は、半減期が短いことから、ある場所で一時期に高い値が出ていても、短期間で下がってくるので、「積算」線量は、それほど増えません。しかし、大量放出があったと考えられる3月15日からでも3週間以上がたち、現在残っているのは、セシウムなどの半減期が長いものが主になってきています。ということは、現在の放射線の量が減るスピードが徐々に遅くなってきているため、今の量が長く続くと仮定して、長期的な対策を立てる必要ができてきたことです。

ただし、原発から海へ漏れ出している汚染については、原発の燃料から直接漏れているようで、今でもヨウ素が多いので、海水と海産物の汚染については、まだヨウ素も重要です。

以上の点を考えて、20km圏~30km圏だけではなく、より広い範囲について、今後の対策を考えていくことが必要です。特に、子どもや妊婦については、放射能量が多い地区からは、今からでも退避した方が良いと考えられます。一刻を争うものではない代わりに、福島市などの人口が多い地域も含まれますから、広い範囲での議論が必須です。(追記)群馬大学の早川由紀夫先生の作った各小学校ごとのマップなどを見ると、その必要性を痛感します。

ヨウ素以外の放射性物質の特徴については、東大病院の放射線医療チームの下記が参考になります。
チーム中川のブログ

また、今後、再度、大量に放射性物質が放出されるようなことがあれば、50km圏よりも遠いところで、モニターの値を見ながら、被曝をさける工夫(屋内にいるだけでも、かなり減ります)が、必要になりそうです。


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Comments

> また、今後、再度、大量に放射性物質が放出されるようなことがあれば、50km圏よりも遠いところで、モニターの値を見ながら、被曝をさける工夫(屋内にいるだけでも、かなり減ります)が、必要になりそうです。

東電や政府は、濃度の高い放射性物質の計画的放出(ベント)や、大量放出の危険性が高まった際には、前もって教えといて欲しいです。
放出後に計測して「何キロ圏内避難勧告」と言われても、既に間に合わないかもしれない。
風向きや降雨の予報をもとに、被曝量の高くなりそうな地域に、避難や屋内退避、場合によっては休校の指示も、出してもらうわけにはいかないんでしょうか。
これからの季節は、登下校だけではなく、体育や運動会、遠足など、対応にお困りでしょうから。
(光化学スモッグ発令を思い出すなぁ。。。)

→全く、賛成です。最初の爆発は彼らも想定外だったでしょうが、今は、ある程度、予測がつきそうですからね。

Posted by: nyaolan | 2011.04.10 at 03:40 AM

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