« 放射線被曝の基準をどう考えるのか?(追記あり) | Main | 放射線の健康に対する影響の「語り方」:リスクの受容 »

今年もまた、えにしを結ぶ会(11回)

今年もまた、えにしを結ぶ会(11回)が開かれました。留学から帰国後は、ほぼ皆勤に近く参加していますが、今年は、とうとうお手伝いをする側に(汗)。昨年に引き続きネット中継をしましたが、最初15分間ほど、何度も中継が途切れたり、音質が悪かったりで失礼しました。その言い訳は文末に。

内容は、プログラムを参照して頂くとして、ごく簡単な感想を。
3部構成の1部は認知症についての鼎談。まず、地域で支えるシステムの紹介をデンマークから千葉忠夫さん。精神科医の視点から上野秀樹さん。介護の視点から永田久美子さん。高齢化が進んでいるため、認知症への注目が集まっていますが、別に新しい問題ではなく、ベッドに拘束されていた時代から、入院、集団施設、そして、今、在宅・地域でという流れを作ろうというのが、今回の一部・二部を通して一貫したテーマでした。しかし、ゆきさんが、「寝たきり老人のいる国・いない国」を書いたのは、もう20年前ですから、なかなか進まないわけです。ついでに、熊大で懇意にしている精神科医の池田先生の著書も御紹介しておきます。(認知症―専門医が語る診断・治療・ケア/中公新書/池田学著

えにし結びタイム後の2部は、最初から刺激的な(笑)上野千鶴子さん。おひとりさまの視点からは、「在宅看取り」という表現は変だ(そもそも看取る人がいないし、死ぬ人が主役でない)。「孤独死」も変だ(一人で死ぬことを、悪いものだと決めるつける意味で)。一人で生活してきた家で一人で死ぬ「在宅死」という選択肢が、当然、用意されるべきだ」「人と人とのつながりには、血縁、地縁、社縁、○○縁、無縁とあって、無縁というのは、つながりがないという意味ではなくて、もともと縁が無い人同士の間に生まれ、作られる縁のことだ」「在宅でひとりで死ねるためには、24時間型の在宅介護・看護・医療が必要」という提言。引き続き、昨年の3部でも過激な発言(?)の小山剛さんが「老人ホーム=避難所論」。地震でもないのに、被災者を収容している避難所である老人ホームを、いかに解消していくのかについてのロードマップは、まさに東日本大震災の避難所解消への道筋と同じだと。そして、熊谷崇さんからは、口腔ケアが高齢化社会でのQOLに重要なのに、日本ではいかにおろそかにされているかという話。出前医者を自称する太田秀樹さんからは、在宅ケアを広める話。病院医療のほとんどは不要かつ有害ではないかと。(この部分は、4部?でお話しした山崎章郎先生も同意見でした。)最後に、社保支払基金理事長の河内山哲朗さんは、日本のレセプト審査が医師という「同業者」により、「性善説」に基づいて行われているという話。社保だけで毎月7000万件(支払い手数料だけでもx約80円=56億)とのこと。すごい数です。

場所を移動して第3部(→臨場感あふれる写真)。場所が狭くて人がぎゅうぎゅうで熱気むんむんで(笑)、個人的には印象が一番大きかったです。最初に川田龍平さんが、みんなの党を選んだ理由。官僚や政財界という従来の構造から、一番距離があるから。何よりも、まだ小政党なので、自分が入れば厚生労働委員会委員になれるから。なるほど。奥さま(堤美果さん)と結婚されて免疫力が上がった、というエピソードも披露して、これには会場大うけでした。

べてるのお二人、伊藤さんと早坂さんは、「べてるの家の恋愛大研究」の紹介。相手が妄想状態になって、「あなたには本当は別に奥さんがいるんでしょう!」と責められた時に、最初は否定したけど、あまりの剣幕に思わず「ごめんなさい」と謝ってしまったら解決したというエピソードに会場は大爆笑でしたが、実は相手の主張を一度は認めることから始めるという、コミュニケーションの重要なポイントを示しているのかもしれません。早坂さんの話は、どこまでホントで、どこまでネタなのか、もしかして、妄想なのか、わからない部分もありました。

そして、今回のキーワードである冤罪の、岩川徹さんご夫妻と、村木厚子さん夫妻。岩川徹さんは鷹ノ巣町を、高齢者福祉の町にしたことで有名で、この会の呼びかけ人でもあり2004年の会でも話をされました。その岩川さんが、4市町村が合併した後の選挙運動中に選挙違反をしたということで逮捕・拘留され、一審では有罪判決を受けました。岩川事件は、警察と検察が、公職選挙法を悪用した事例と考えられるとのこと。この事件の詳細は、大熊一夫さんの以下を是非→「福祉の星がはまった罠」(PDFファイルです)。週刊朝日の最新号にも掲載予定とのことです。警察・検察は、誰かを有罪にしようと思えば、いとも簡単にできるのだということが、最大の教訓です。また、岩川さんの奥さまは拘留中に接見を禁止され、二人だけの家族なのに、引き離されて1年も会えなかったことがとても辛かったそうです。でも、ご本人が黙秘している中で、奥さまも検察の取調べ3回の後、一度も供述調書にサインをしなかったそうです。それは、検察で話したことと、自分の話として作られた調書の内容が異なっていたからとのことです。しかしサインをしないと勾留が長引きますと言われた中で、一人で頑張るのは非常に辛かったと思われます。取調べの可視化の必要性が言われている理由ですね。

最後が村木厚子夫妻。TVドラマになってご存知でしょうが、こちらもどうぞ。村木さんが突然逮捕され、拘留された期間は164日間で、野口聡一さんの宇宙滞在期間より1日長かったそうです。また、拘置所は、もちろん自由はないとはいえ、ひどくはなくて、女性看守さんは、とてもよかったそうです。最初、自殺をするのではないかと心配されたので、責任者の方から、これから検察と戦うんだから頑張ってねとまで言われたそうです(笑)。岩川さんも、長く拘置所にいると、やはり人間関係ができてくるから、いろいろ面白かったですと話されていました。このあたり、ヴィクトール・フランクルを彷彿とさせます。また、村木さんは、自分を支えたものは2種類で、一つはプロの支え(その分野の知識と経験、有能な弁護士さん)、そして家族など心と健康、経済面の支えだったと。また、弁護士さんから、裁判に勝つには、6つの条件が必要と聞いた。それは、「たまがいい。すじがいい。検察が馬鹿。裁判官が利口。弁護士が利口。」の5個の条件が全て揃って、なおかつ「運が良い」とのことです。本当に穏やかに、こんな話をにこにこされるのを聞いていると、なぜ検察に訴えられる状況になってしまったのか理解できませんでした。なお、強調しておくべきことは、村木さんは、この裁判で大阪に何度も足を運ぶ必要があったり、弁護士費用を払う必要があったりして、数千万の支出があったそうです。岩川さんの共犯とされた方は、まともに弁護をしてもらうことさえできなかったそうで、日本では、正義の沙汰も金次第という部分も改善の余地があります。

最後に、3部の司会をした毎日新聞の玉木達也さんは、マスコミが検察発表をそのまま流して村木さん悪人説一色だった時から、この事件をきちんと調べていたそうですが、彼は最初に村木さんに拘置所で接見した時に、笑顔を見て無実を確信したそうです。ゆきさんも、村木さんが逮捕された当初から、ずっと支援をしていましたが、村木さんの娘さんが、報道された直後から彼女を応援した人は、「お母さんを信じたというよりも、自分の人を見る目を信じたんではないの」と話したとか。そういえば、ぼく自身も支援していた、ある内部告発をした医師(N医大のG医師)も、ゆきさんが支援してくれたました。その時に、どうして支援してくれるのかを尋ねたら、「だって2時間くらい直接話をしたから、彼は嘘をついていないって思ったよ」と、ゆきさんに聞いて、ものすごく納得したことを思い出しました。ただし、本人は、自分の人を見る目について、多少、懐疑的な部分もあるようですが(笑)というわけで、やはりマスコミの人には、是非是非、一度は、その当事者に会って話を聞いてから、記事を書いて欲しいなと思うわけです。

以上、不十分ですが、昨日の感想です。総合司会の永井裕之さん、藤原瑠美さんはじめ、チームえにしの皆さん、お疲れさまでした!


最後に、おまけ。

 会場では、現在はパソコンの要約筆記を画面に映しています。この作業を担当して頂いているのが、宮下あけみさんのチームで、今回は入力作業を見学させてもらいました。2人1組で入力、2組が10分交代、4人で作業です。入力は、一人の人の言葉をつなげ打ち、つまり、「これから、えにしの会が、始まります」などと、文節毎に二人で入力していくようです。方法については、例えば、こちら。 しかし、えにしの会は、みなさんものすごく早口で話しますので、二人でも相当なスピードでタイピングされていて、腱鞘炎にならないか心配になってしまいました。なお、宮下さんのページはこちら→(パソコン字幕)パソコンの要約筆記に関連して、無線LANと人工内耳システムの関係の話など、参考になる情報がたくさんありそうです。また、実際、どのように活用されているのかたくさん例も紹介されています。

 また、今回のストリーミングは、ぼくが用意したWindows 機材ではなく、今田さんのプロ級のマック機材を使いました。そのおかげで字幕まで入った凝った画面でした。しかし、実は2時間以上前から準備万端のつもりだったのですが、直前にカメラの認識ができなくなり、1部の最初が少し切れてしまいました。すみませんでした。ぼくはマックもPCも、どちらも長く使いましたが、マックは、ほとんどの点でPCより洗練されているんですが、こういう気まぐれがあるんですよね。なので、べてるの恋のマニュアル的に言うと、マックは素敵なセレブな女性みたいで、とても憧れますが、気まぐれに泣かされることもあるので、普段、お付き合いするなら、地味だけど何を考えているのかよくわかる愚直なWindows だなと(笑)

 あと、4部の懇親会では、産科医療保障制度の現状分析について、非常に気になる情報も聞きました。ある意味では、これまで医学の常識と思われていたことが、かなり変わり、医学についての自信を失う結果になるのかもしれません。今回の原発事故以来の放射線の健康に対する影響も同じですが、よくわかっていないことについては、謙虚な態度を持ち続けないと駄目ですね。

おまけの2:
Maruyama_2 えにしの会の直前に、熊大の研究室にバリアフリーデザイン研究会の丸山力さんが訪れてくれました。丸山さんは、惜しくも亡くなられた白木力さんとバリアフリー建築を進めたり、日本への低床電車・バスの導入に尽力されるなど活動をされてきた方です。えにしの方にも、お知り合いが多いと思いますので、写真を掲載させて頂きます。

地震以来、久しぶりに、地震・原発以外の話を書けました。

|

« 放射線被曝の基準をどう考えるのか?(追記あり) | Main | 放射線の健康に対する影響の「語り方」:リスクの受容 »

Comments

 えにしの会の貴重な裏方、お手伝い、お疲れ様でした。
わたしも資料の袋入れボラとして、午前から第1部・2部まで、参加させていただきました。場所を移しての第3部には参加できなかったので、その後のえにしの会の様子を伝えていただき、ありがとうございました。

Posted by: チームえにし補欠 飯島惠子 | 2011.04.28 05:28 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 今年もまた、えにしを結ぶ会(11回):

« 放射線被曝の基準をどう考えるのか?(追記あり) | Main | 放射線の健康に対する影響の「語り方」:リスクの受容 »