震災支援:ヨウ素について(追記あり)
原発事故で放射性ヨウ素対策が急務になりました。取り急ぎの情報です。
(追記)区域外の水道水からもヨウ素が検出されました。現在の放射性物質の飛散状況から考えれば、より広範囲で検出される可能性があります。
(追記)東大病院放射線治療チーム(チーム中川 @team_nakagawa)が、放射線による健康被害についての情報を、Twitterで流しています。その中の内部被曝・ヨウ素・セシウムの解説をまとめました。
http://togetter.com/li/114324
内部被曝についての津田敏秀先生の記事
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1310
飛んでくるのは、主に131Iで、この半減期は8日です。つまり8日で半分、16日で4分の1、32日で16分の1ですから、1ヶ月たてば、かなり減る計算です。また、体内に入ってしまった場合、ほとんどのヨウ素は、1日以内に尿に出てしまいます。しかし、一部のヨウ素は甲状腺に取り込まれ、その場所に居座り続けます。この甲状腺に取り込まれることを予防するのが、ヨウ化カリウム製剤です。
(追記)ヨウ素が減った後に、次はセシウムが残りますので、その点は、上の解説を。なお、化学的に、ヨウ素は塩素に近く、セシウムはナトリウムに近いものです。
この効果は、下記のHPにあるように、直前に飲むのが一番効果があり、早すぎても遅すぎてもダメです。
原子力事故時のヨウ素剤の服用
http://www.geocities.co.jp/wallstreet/1795/datugenpatu/991226yousozai.html
放射性ヨウ素とヨウ素剤投与
http://bit.ly/egoilA
ただし、もし甲状腺に取り込まれてしまったとしても、量が少なければ、一ヶ月もすれば10分の1以下になりますから、大人は、あまり心配する必要はありません。しかし、小児の場合、甲状腺癌が増えることがわかっているので、少量でも注意が必要になります。
母乳・牛乳と摂取したヨウ素の関係については、前エントリーからのコピーですが、ヨウ素を取り込むと、一部が甲状腺に取り込まれ、残りは、ほぼその日のうちに尿に排泄、母乳や牛乳にも分泌されます。甲状腺以外の部位や血液中には、長くは残りません。(いろいろな臓器に少量は分布します)乳牛が放射性ヨウ素に一過性に汚染された牛乳を出しても、数日すれば、ほとんどなくなりますから、牛そのものの処分は通常は不要です。乳汁には積極的にヨウ素が分泌されるため血液中の濃度よりも濃くなります。
ここにあるように、赤ちゃんにもヨウ化カリウムをあげることを前提に、お母さんが被曝をしても母乳を中止する必要はありません。ただし、たとえば1日だけ、強い被曝をしたとか、間違って汚染されたものをお母さんがたくさん食べてしまったという場合には、それから1日分だけ母乳を捨てて、その間は粉ミルクとして、翌日から授乳を再開すればよいと考えます。
放射線医学総合研究所には、食品についての注意があります。
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i6
ヨウ素の説明(一定の基礎知識のある方向けです)
http://bit.ly/IoDIde
なお、今後、低レベルとはいえ、水道が汚染される可能性がありますが、現在のところは、まだ大丈夫なレベルと思われます。
(追記)
≪内部被ばくに関する線量換算係数≫によると、
核種 半減期 経口摂取(Sv/Bq) 吸入摂取(Sv/Bq)
I-131 8.04日 2.2×10^-8 7.4×10^-9
となっています。昨日発表された牛乳の汚染は高くて1500Bq/Lでしたから、1Lで3.3x10^-5 Sv = 33μSvです。5万Bq/kgのホウレンソウ100gなら、5000Bq で0.11mSvです。ただ、たとえば医療機関で行われる放射性ヨードの検査では、全身被曝で10mSv、甲状腺に限れば30mSvなどの数字があります。毎日食べると、という科白はこのあたりから出るわけです。
また、実は医療者から見るとI-131は甲状腺機能亢進症という病気の治療に使っているものです。例えば500MBq(5億ベクレル)という量を投与します。(参考:甲状腺治療ガイドライン)これは癌の治療ではありませんから、この量を投与しても甲状腺の萎縮は起きますが、癌が増える危険性がそれほど高くないということを示します。もちろん若い人にはやりませんよ。でもリスクを知っていれば、無闇に怖がる数字でもないということです。ですから、今後、もっと高い値が報道されてくると思いますし、それは一般の方には恐ろしい数値に思われるかもしれませんが、医療関係者は、I-131の数十万~数百万Bqと聞いても、意外に平気なんです。
あと、こちらで、いろいろ計算してくれている方がいて、簡単にまとめると、外部被曝線量がある値の時の内部被曝線量は、後者の方が大きいのではないかということです。この情報は、前のエントリーで書いた、どのくらいの放射線量になったら退避すべきかという問題について、より安全(保守的)な判断をするべきだと解釈できそうです。その点については異論はありません。小児については、さらに保守的な判断をすべきです。
なお、私はこの記載を、「安全を強調するため」に書いているわけでも、少量なら飲んでも良いというために書いているわけでもありません。ただ、私たち医療者にとっては、日本の安全基準は日常的に扱っている量よりも格段に少なく、たとえ基準を越える被曝を受けてしまった場合でも、リスクを定量的に認知してもらえば、不安が減少するのではないかと考えています。


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