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発達障害支援:森岡洋史先生(鹿大)、クローズアップ現代(イギリス)

先日、「キャンパスでみられる不登校と職場不適応-発達障害の視点から-」という題で、鹿児島大学保健管理センター所長の森岡洋史先生の講演をお聞きする機会がありました。ぼく自身も、睡眠障害外来で中高生だけではなく、大学生や既に勤め始めている若い人の不登校・出社拒否(これも、登校拒否との類似性からは不出社と呼ぶべきですが)の相談を受けることが多いので勉強になりました。そのメモを書こうと思っていたら、昨日のクローズアップ現代で、イギリスの発達障害支援を取り上げていたので、それも合わせて、以下、久しぶりの長文です。

[鹿児島大学]
森岡先生は、ある学生に対する支援をきっかけに、鹿大の不登校学生の中で発達障害が原因になっているケースが相当あることに気がつき、支援を続けているそうですが、現在ケアをしている学生が20名以上いるとのことで、びっくりしました。ちなみに鹿児島大学の学部学生数は約9000人です。高機能自閉症やアスペルガー症候群では、ペーパーテストの成績は優秀なことも多く、軽症では国立大学に充分合格できますが、4年生にまで進学して「卒検」の段階になって、初めて障害が顕在化することが多いそうです。彼らの障害は、言葉での指示を受け取りにくい、「空気が読めない」「人の心が読めない」ことによって対人関係が苦手という特徴があります。そのため、通常の講義やテストでは問題がなくても、指導教官の指示をもらって自分でプロジェクトを進める卒検などは、うまくこなせなくて、嫌になって不登校になりやすいそうです。また、板書をしなかったり、レジメを配ってくれない先生だと、講義についていきにくいそうで、ぼく自身も今後講義するときには、注意をしないといけないと思いました。エピソードとして興味深かったのは、○授業中、先生が説明したことを、声に出して復唱している学生がいて、注意をしたところ、「大学に入って講義が難しく困っていると母に話したら、先生が言ったことを繰り返すと頭に入るようになるよと言われたので、繰り返しています」と答えた。○以前、カウンセリングをしていた学生に、しばらくぶりにキャンパスで会った時に、「久しぶりだから、後からセンターに来なさい」と声をかけたら、センターに来て、中に入った瞬間にUターンして出て行ってしまい、あわてて追いかけて尋ねたら、「来なさいと言われたので、来ましたから、もう用事は済みましたよね?」と答えたとか・・・本人たちには、笑い事ではないのですが、笑ってしまいました。

[熊本大学]
以前、発達障害児支援の専門家の熊本大学教育学部の高原朗子先生「心理劇」の取材をさせてもらったことがありますが、その時に、彼女が支援している子たちも、難し大学に入学して行くけれど、入学後に「友達や先生の顔と名前が一致しない」という、普通の子が経験しないようなことで困ると聞きました。

発達障害のための心理劇―想から現に

高原 朗子 (著)
そういえば、ニキリンコさんのエッセイに、数名で長時間打ち合わせをしていてお腹が減ってきた時に、誰かが「そろそろご飯を食べに行こう」と言ったので、あわてて「私はご飯だけじゃなくて、おかずも食べたい」と言ってしまったというエピソードがあったのを思い出しました。問題集を解くときに、いつも必ず1番から順番にやっているのを見た友人が、横から「全部やらなくても、☆のついている難しいのだけやればいいじゃないの?」と言ったら、既に解いてあった解答を全部消しゴムで消して、☆の問題だけを、「順番」に解き始めたとか・・・彼らには「適当にやっといて」というのが、最も苦手な指示のようです。

[イギリス]
NHKのクローズアップ現代では、以下の数字が印象的でした。
イギリスのある小学校では、
全校児童 400人
支援対象 120人(30%!!!)
専門職    2人
補助教員  23人 (教育支援員)
そして、全英での教育支援年間の予算は7000億円で8年前の5倍とのこと。

日本では、というか、日本に限らず、排除の発想は常にありますが、特に子どもの教育に関しては、排除するよりも、きちんと適応できるように教育を進める方が、マジョリティにとっても良いことなのは明白ですし、30%という数字は、もはやマイノリティなんてものではありません。日本の文科省の少し前の調査の6~8%という数字でも、除外して特別支援するというレベルではないと思います。やはり「最低でも」欧米並の少人数クラスにするという、全体の底上げも大切ですね。

才能を開花させよ ~どう支える発達障害児~ 2009年2月10日(火)放送

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2009/0902-2.html#tue

以下、上記のページから引用

人とのコミュニケーションがうまくとれず、周りの状況にあわせた行動が苦手な高機能自閉症やアスペルガー症候群。知的な発達に問題ないのに読み書きや計算など、特定の学習だけが極端に苦手な学習障害(LD)。落ち着いて物事に集中することができない注意欠陥多動性障害(ADHD)。これらの知的に遅れのない「発達障害児」は、文部科学省の調査によると、通常学級に在籍する小中学生の約6%にのぼると言われ、いじめの対象になることもあり対策が急がれていた。国は、昨年度から全ての小中学校で発達障害児を支援する学習・生活指導を行うことを定めたが、専門家不足や教師への研修体制などが整わず、全国で模索と混乱が続いている。得意分野では極めて優れた能力を発揮する発達障害の子供達の教育はどうあるべきか?30年以上前から取り組むイギリスでは、社会人になるまで一貫した長所を伸ばす教育で、研究者や芸術家として成功する例が少なくない。発達障害の子供達を社会に適応させ、才能を開花させるために、どんな支援体制が必要なのか考える。
(NO.2696)
スタジオゲスト : 上野 一彦さん(東京学芸大学教授 )

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