« Serge Daan 博士 と 地球温暖化 | Main | 覚醒障害?中学3年生が父親を刺殺 »

インフルエンザ時の異常行動とタミフル

インフルエンザ時の異常行動について、1万例を超える調査結果が発表されました。研究デザインが不十分なので、得られた結論はグレーの部分もありますが、臨床診療上、大変に示唆的な部分が多いと思います。

(追記)全体へのリンクを追加しておきます。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-6.html

ただ、今回の解析で残念だったのは、タミフルとの因果関係について厚労省研究班が間違った数字を発表して、それを朝日新聞などが報道してしまったので、意味のない数字が一人歩きしたことです。

記事に出てくる、11.9%と、12.8%という数字の比較は、科学的に無意味です。
無意味な値で何か言っても、当然意味ないです。┐(´~`)┌
http://www.asahi.com/national/update/0710/TKY200807100366.html

その点について、批判をしたものが下記です。ご興味のある方はお読み下さい。
「Tamiful080716.pdf」をダウンロード

で、ぼくの、現段階での意見のまとめは下記です。

タミフルが異常行動を増やす可能性は充分に残ると考えるが、今回の調査から、その割合は最大に見積もっても、たかだか50%程度である。つまり、タミフルを規制しても、最高でも異常行動の3分の1を予防できるだけであり、何よりもインフルエンザそのものによる異常行動に注意を払わなければ、何の意味もない。また、インフルエンザそのものによる異常行動に注意を払いながらであれば、タミフルの処方をことさら怖がる必要もない。とすれば、タミフルが異常行動を増やすという可能性があるとしても、今回の調査には臨床的意義があり、10代への処方制限解除などには、私は賛成である。厚労省研究班には、素人だましのトリックを用いることなく、科学的に結果を解析し前向きに対処して欲しい。

追記:タミフルに不利になるように見積もれば50%以上になりえます。実際、重症例や、内服直後の例を考慮した検討を行えば、現在のデータでも、より高いオッズ比が得られる可能性があると指摘されました。その通りですので、修正しました。

また、タミフルを処方してもよい、ということと、インフルエンザと診断されたら、何でもかんでも、タミフルを処方すべきだ、というのは、根本的に異なります。ほとんどのケースで、インフルエンザにタミフルを処方することは不要だと考えています。

|

« Serge Daan 博士 と 地球温暖化 | Main | 覚醒障害?中学3年生が父親を刺殺 »

Comments

素人の質問お許しください。
どうして科学的に意味がないのですか。教えてください。

Posted by: nana | 2008.08.01 01:54 PM

ぼく自身も、この間違いを理解するのに、数時間かかりました。
一応、数学は少し自信があったんですけどね・・・
(なお、東大の数学科を卒業している人が二人、ぼくの意見の方が正しいと言ってくれたので、数学が本当にできる人には、簡単みたいです)

なので、納得して頂くのはかなり時間がかかると思いますが、興味があれば、下記の大阪大学の菊池誠先生のブログを読んで下さい。ここに、ぼくが2つほど、簡単なたとえを書いています。それでも、納得できない人が、まだたくさんいるのですから、やはり難しいんです。素人の人が、研究班の議論にだまされてしまうのは、しかたないです。マリックさんの超魔術みたいです(笑)。

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1215938533

Posted by: オーナー | 2008.08.01 10:26 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference インフルエンザ時の異常行動とタミフル:

« Serge Daan 博士 と 地球温暖化 | Main | 覚醒障害?中学3年生が父親を刺殺 »