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タミフル:話題になって3度目の冬

タミフルが発売されて6年ですが、重篤な副作用の可能性が指摘されて3度目の冬がめぐってきました。
今年は、これまでほどたくさん処方されることはなさそうだし、ぼくはタミフルに恩も恨みもないのですが、ずっと観察を続けたきたので、現時点でのコメントを・・・

なお、このブログでの過去のエントリーは下記です。
インフルエンザ時の異常行動:タミフルとの関連 2005/12
抗インフルエンザ薬の使用に関する暫定見解 2005/12
インフルエンザ罹患時の異常行動例 2005/12
タミフル服用後の異常行動 2006/07
インフルエンザと異常行動 2006/10
インフルエンザと異常行動・再び 2007/02
厚労省からの通知 2007/03
厚労省からの通知2 2007/03

1ヶ月前と数日前に二つの報道がありました。

●タミフルの脳への興奮作用、ラットで実証 米の邦人教授
http://www.asahi.com/health/news/TKY200709290068.html
 インフルエンザ治療薬タミフルに脳細胞を興奮させる作用があることを、米ワシントン大学(ミズーリ州)の和泉幸俊教授(精神医学)らがラットを使った実験で初めて明らかにした。内容は10月9日発行の医学専門誌「ニューロサイエンス・レターズ」に掲載される。 (以下、略)

●タミフルと異常行動、因果関係見られず 厚労省
http://www.asahi.com/life/update/1024/TKY200710240515.html
2007年10月24日21時22分
 インフルエンザ治療薬タミフルと服用後の異常行動の因果関係を調べるため、厚生労働省が設けた専門家による作業グループは24日、これまでに実施した動物実験など7種類の試験結果を公表し、「医学的に明確な因果関係は証明できなかった」とした。ただ最終的な結論は、さらに別の実験をしたうえで、今冬のインフルエンザシーズンまでに出すとしている。
 実験は、タミフル輸入販売元の中外製薬が実施。薬の効能以外の作用を脳に及ぼすかや、脳内にタミフルが大量に蓄積されないかなどをマウスなどで調べたが、いずれも異常行動につながるほどの影響は見られなかったという。

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この報道では厚労省の作業グループが、上の論文も検討したのかどうか、全くわかりませんが・・・いずれにせよ、既にポジティブな結果が論文発表されている段階では、発表する価値のない中途半端な中間発表だったと思います。

ぼく自身は、Neuroscience Letters の論文を読んだので、現時点では、タミフルが「少なくとも実験動物には」異常行動を引き起こす可能性があると考えます。実は、この報告以外にも、別のグループもタミフルの神経細胞に対する興奮性を見つけていて、そちらもそのうち論文として出てくるでしょう。その時に、製薬会社の行った動物実験結果だけで判断するのは、科学的とはとてもいえないと思いますし、科学者が納得するようなやり方で検討して欲しいです。また、マスコミにも、「考えて」報道して欲しいものです。

ただし、異常行動の発症率は高くはないので、たとえ危険性が否定できなくても、販売中止にするべきとは思いません。大切なことは、グレーなものを白とか黒とか言わないことです。100%安全なものなどはないので、グレーはいつまでたってもグレーであり、その危険性まで含めてタミフルを選ぶような、成熟した市民に日本人がなって欲しいし、マスコミにも成熟して欲しいと思います。

と、ここまで書いていたら、今日、また別の報道がありました。

タミフル、脳に侵入…厚労省見解覆す?動物実験結果
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071031i207.htm

 服用した若者や子どもに異常行動や突然死が相次いだインフルエンザ治療薬「タミフル」が脳に達する仕組みを、国内の二つの研究グループが動物実験で明らかにした。

・・・

 荻原琢男・高崎健康福祉大教授らは、タミフルを、通常のマウスとP糖たんぱく質を作れないマウスに投与して比較した。その結果、P糖たんぱく質を持たないマウスでは、脳内のタミフル濃度が血中濃度の65~85%にも達し、通常のマウスの14~17%より大幅に高かった。また、活性体を直接投与したところ、いずれのマウスでも脳に達したタミフルの濃度は血中の1%程度に過ぎず、活性化前のタミフルが脳に達しやすいことがわかった。

 人間の場合、肝臓の酵素や脳のP糖たんぱく質の量には個人差がある。この動物実験の結果が人間にもあてはまるとすれば、一部の人の脳にはタミフルが届いてそこで活性化され、影響を及ぼす可能性があることを示す結果だ。

 東京大の杉山雄一、柴崎正勝両教授らも、ほぼ同じ実験で同様の結果を得た。さらに生後3~42日のラットにタミフルを投与したところ、生後6日目までの幼いラットは、21日目以降の成体に比べ、脳内の濃度が約6倍も高くなった。P糖たんぱく質の量は幼い時は少なく、11日目前後の青年期を過ぎて急増することも確認された。

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手前味噌ですが、杉山先生たちのグループとは、以前、共同研究をさせてもらっていて、一緒にP糖タンパク質のクローニングもしました。薬剤のトランスポートに関しては、世界のトップレベルの研究室です。企業が自分のところの薬を使って出したデータとは、信頼度が異なるでしょうね・・・

やっぱり飲むときには、お気をつけて・・・

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Comments

3月2日から、タミフルを服用しています。
40後半の男性です。
おそらくタミフルの副作用とは関係ないと思いますが、
興味深い体験をしたので、少し書き込ませていただきます。
服用2~3日目の就寝時、目を閉じると、思考とはあまり関連の無い、比較的リアルなイメージが幾種類か、脳内に出現しました。一番はっきりしていたのは、オフィスのデスク等の配置を表す細かな立体模型の様な物です。
その中に何十もあるデスクの配置換えが、頭の操作で不思議な事に、パッとできるんです。

とにかく、最近ではかなり鮮明なイメージに驚きつつ、しばらく観察を楽しみました。

昔20~30年前に、「イメージ その全体像を考える」藤岡喜愛著(NHKブックス)という本等で、イメージというものの具体性に触れ、自分でもイメージ操作の練習(空間を何歩か昇るイメージ)などをやっていた頃以来の感じでした。

思うに、あんまり関係ないかもしれませんが、
タミフルの副作用に、脳のイメージ形成力を刺激して活性化する作用があった場合、イメージ操作の経験に慣れていない子供等が、病気時の妙なイメージ等を、リアルな形で体験した場合、このイメージに呑まれる事もあるかな。という気がしました。

というわけで、とりとめもなく書かせていただきました。
明日からタミフル明けです。
しかしまだ、喉の具合はいまいちです。

Posted by: ベアー | 2008.03.07 12:00 AM

コメントをありがとうございました。
タミフルは代謝産物が脳内に貯まって神経細胞の興奮性を高めるという説もありますから、関係するかもしれません。ただ、感染して熱が出ている時に出るインターフェロンなども、免疫だけではなく、さまざまな精神・神経作用がありますから、薬とは関係なく起きる部分もありそうです。
それよりも、目を閉じるとすぐに、脳波はα波優位になりますから、意識の内容が変容することはありそうです。イメージ形成力というものは、ぼくはうまくイメージできない(笑)のですが、たとえばREM睡眠の夢の中では、起きているときには思いつかないアイデアを思いつくことがあるようで(ケクレのサルとか・・・)、それは、抑制がはずれて、通常では結び付けない連想をするからかと思っています。

Posted by: オーナー | 2008.03.08 12:36 AM

妙な書きこみにも、Resいただきましてありがとうございます。

今回のインフル中は、発熱も37℃前後で経過も良かった感じです。
今回の体験時は、目は閉じてましたが、意識ははっきりしていました。
脳波が何波のレベルだったかは、当然皆目分かりません。
3日目ぐらいの時は、イメージの崩れ方が早く、
これに付き合うのはしんどいので、気持を切り替えて、とっとと、寝ました。

Posted by: ベアー | 2008.03.10 12:16 AM

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