プロフェッショナルとは・・・警察を持つ
前回のGoodWork Project に関係しますが、倫理の教科書の中の「専門職」について、こんな記載がありました。
In general professions have explicit training and licensing mechanisms; professions police themselves and can remove delinquent members from their ranks.
つまり、専門職と呼ばれるためには、トレーニングとライセンスの仕組みを持ち、警察機能を持つことで、delinquent(=過失を犯した)なメンバーを追い出すということが必要とされるわけです。
現在、医療への警察の介入が問題になっていて、よく「自浄能力」という日本語が使われますが、英語では、ずばり、ポリースというのですね。
そういえば、アメリカに住んでいたときに、ハーバード大学には、ハーバード大学の警察があり、ぼくの住んでいたベルモント市、マサチューセッツ州、そして、国には、それぞれ、警察があり、「パトカー」がありました。市の警察は、スピード違反の取り締まりとかを身近な犯罪を取り締まりますし、いつも「町」にいます。州(state)の警察は、より広い範囲での取締りをしますし、国(federal)には、FBIがあります。そして、大学の中には、大学の中の警察があり、自衛もすることになります。このあたりが、本当の分権・独立の国だったのでしょう。
日本の医療界には、そもそも警察機構がないので、「本当の警察」に介入されてしまいます。やはり辛くても、「過失を犯した」同僚をきちんと審判できるシステムを作らない限りは、刑事介入を防ぐことはできないのでしょうね。
The comments to this entry are closed.
Comments
粂さん、こんにちは、岩岡です。
ご無沙汰しております。
はい、私もまったく同感です。
ついでですが、よく日医が使う「プロフェッショナル・フリーダム」という言葉も、間違った和製英語だと思います。
「プロフェショナル・オートノミー」が、正しい用語ですね。
「フリーダム」と「オートノミー」(自律性)は、似て非なる物だと思います。
Posted by: 岩岡秀明 | 2007.10.04 09:04 AM
こんにちは、岩岡です。
すみません、自己レス、訂正です。
岩岡wrote
> よく日本医師会の幹部やシンパが使う「プロフェッショナル・フリーダム」というのも、間違った和製英語ですね。
> 正しくは、「プロフェッショナル・オートノミー」です。
>
> 「オートノミー」(自律機能)と「フリーダム」は、似て非なる物、ですね。
ある方からご指摘いただきましたが、「プロフェッショナル・フリーダム」という言葉も、かつては米国で使われていました。
「プロフェッショナル・オートノミー」に変化したというのが正しいようです。訂正いたします。
professional freedom
http://www.pubmedcentral.nih.gov/pagerender.fcgi?artid=1344104&pageindex=1
1974年に米国外科学会会長になった方の就任挨拶です。
プロフェッショナル・オートノミーと自己規律に関するWMAマドリッド宣言(1987年)
http://www.med.or.jp/wma/madrid.html
1987年に世界医師会が宣言している用語ですので、こちらを使うべきでしょうね。
第Ⅱ章 診療ガイドラインとプロフェッショナルオートノミー
http://www.hirano-med.or.jp/Academy/Report_6.htm
以下、一部転載します。
・・・・・・
一方、プロフェッショナルフリーダムという言葉もよく用いられている.この用語は、日本医師会武見太郎元会長によって提唱された言葉として有名である(日本医師会編 国民医療年鑑 昭和54年版).それによると、「聖職者・弁護士、医師ら古典的プロフェッションは、外的制約、干渉を受けないという意味で自由でなければならない」としながらも、「現代プロフェッションは・積極的・創造的活動を自由に行う姿勢をとることが必要である」と述べられている.その意味において武見元会長が提唱されたプロフェッショナルフリーダムは、消極的・受動的自由ではなく、積極的自由を指していたものと思われる.
しかし現在、プロフェッショナルフリーダムというと、「干渉されたくない」というエゴイズムの烙印を一般社会から押されかねない.そうした誤解を避けるためにも、医師としての責任を果たすために理性に裏打ちされたプロフェッションとしての積極的活動を意味するプロフェッショナルオートノミーという用語を用いる方がよいと考えられる.
第39回世界医師会総会(1987年、 Madrid)では、 「Professional Autonomy and
Self-Regulationに関する宣言」が採択され、医師が誇りをもって自己を律し.医療の質を向上させることの大切さを譲っている.
・・・・・
Posted by: | 2007.10.05 06:14 AM
粂先生、ご無沙汰しております。大阪の弁護士の松井です。
ブログの記事を拝見し、「お!そうなんだ!」と思い、コメントさせていただきます。
弁護士業界は戦後?弁護士自治の確立として、強制加入団体として懲戒制度を設けたようです。除名処分を受けたら、もう登録できず、弁護士として働けません。
ただ、最近、この懲戒制度が広く世間に知らされていなかったこと、機能していないのではないかと問題提起され、そういった視点も加えて、橋下弁護士と光市事件の弁護団の弁護士とで民事訴訟になっているのは報道のとおりです。
Posted by: まつい | 2007.10.08 10:45 AM
岩岡さん、松井さん、コメントありがとうございます。
フリーダム、オートノミー、インディペンダンス、そしてボランティアという単語の和製の意味との語感の違いから、日本人は学ぶべきことが多いと思います。裁量権を、干渉されない権利とか、勝手にやってよい権利だと考えていたり、人権と権利という言葉の違いも意識しない人もいますしね。
橋下弁護士の件はコメントするだけの知識がありませんが、光市事件のように注目度の高い件に関して、弁護士会という組織としての見解は示すべきかと思います。
Posted by: オーナー | 2007.10.08 11:03 AM
粂先生
示唆に富むご意見をありがとうございます。
そうですね。一人の弁護士としてのあり方だけでなく、自分が属する組織とその社会の中でのあり方というものも常に考え続けて行動をしていくことが大事ですよね。
Posted by: まつい | 2007.10.09 11:16 AM