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書評:明香ちゃんの心臓

頂いてすぐ、最終章だけ先に読んでいたのですが、東京女子医大の心研の医療事故を追いかけた、鈴木さんの著書全体をようやく読み終えました。

明香ちゃんの心臓―〈検証〉東京女子医大病院事件
鈴木 敦秋 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062133229/ref=sleep-22/

鈴木さんの本は、これで3冊目ですが、グレードアップしたというか、これまでの2冊以上に、非常に強い感銘を受けました。

明香ちゃんの事故は、医師の逮捕にまでつながったわけですが、実はその後に続いた東京女子医大自身による、その他の医療事故の内部調査と、その結果を受け入れていった家族の物語も圧巻で、ある意味で今の医療不信を乗り越えていく最先端の可能性を示しています。そこにかかわった医療従事者も家族も、苦しみの中から和解の道を選んで行くことができたのは、やはり平栁夫妻の人柄によるもので、明香ちゃんの心臓が生きてきた証にもなるのかなと感じました。

個々のことを少し書くと、女子医大の心研が「屍を乗り越えて」日本の心臓外科医療を確立してきたこと、札幌医大から赴任した和田教授のこと、その日本一の医療機関で行われていた医療が患者側の目からは、どのように見えていたのか、そして明香ちゃんの手術の時に起きた事故の詳細などがよくわかります。この件もその後の経緯も、ある程度知っているつもりでしたが、こうやって読んでみると、やはりイメージも変わりますし、学ぶことが多いですね。日々のニュースなどだけではわからないけれど、長い時間をかけて取材したジャーナリズムの賜物だと思います。是非、まだの方は、お読み下さい。

ちなみに、鈴木さんの前著も優れた本です。

小児救急 「悲しみの家族たち」 の物語
鈴木 敦秋 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062126818/ref=sleep-22/

大学病院に、メス!―密着1000日、医療事故報道の現場から
鈴木 敦秋 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062118041/ref=sleep-22/

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Comments

私も読みかけ中、彼の著作もすべて読みました。
彼とは仕事の関係で以前何度かお付き合いをさせていただきました。当然ながら新聞記事も見ており、これほど丹念に掘り下げて書いていることに感銘を受けているものの一人です。

社会、人、事象に対して、やさしい視点を持っている人とは感じておりましたが、でもこれ程まできちっとした労作を仕上げるとは想像もしていませんでした。失礼!

 この病院にも仕事で関与したこともあり、「この著作」を読みつつあります。
 医療関係者や「利害に少々でも関係する人」だけでなく、もっと多くの方が広く読まれることを願ってやみません。
     

Posted by: taka | 2007.06.12 12:59 AM

鈴木さんからも、コメントをもらいました。なるほど・・・
>>>>>
社会はあまりにも複雑で、ことに医療を巡る状況は混沌と呼ぶにふさわしい世界です。状況も価値観も刻々と変わる。
その中で、「何がフェアなのか」「フェアという立場はどこにあるのか」を考え続けることだけが、僕らが唯一、胸を張れる「正義」なのだと思っています。
とはいえ一方で、書くことは人を傷つける。
その罪を自覚し、どこまで事象と向きあえるのか、
「自分」というバイアスをどこまで排除できるのか、
いろんなことを考え、苦しみながら書きました。
>>>>>
ノンフィクションにおいて、著者は「脇役」です。編集者も脇役。
明香ちゃんを巡る物語を社会に示すというプロジェクトのもとに、
話を聞き字にする係、それを読み注文をつける係、本の装丁をする係らが集まり、
まじめに仕事をしたという感じです。
では主役はというと、明香ちゃんであり、その他の登場人物なのですが、
彼らとて「時代」という主役から役を与えられた演者かもしれないと思うことがありました。

Posted by: オーナー | 2007.06.13 10:46 AM

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